ラジオについて

Ryu Shobi

2010年03月05日 19:24

ソロキャンプで有効なアイテムの一つに「ラジオ」がある。
天気予報やニュースを聞くにも使うが、ちょっとした時間潰しに地元のAM/FMラジオ番組を聞く楽しみも併せ持っている有用なアイテムだろう。
一昔前は携帯電話のブラウザ機能が現在ほど高機能ではなく、ブラウザフォンの普及率も高くは無かったことからラジオはキャンプ中の情報源として非常に重宝されていたが、現在は携帯電話でほとんどの情報を得ることが出来るから不要という意見もある。
しかしキャンプ場によっては携帯電話の電波が入らない場所もあるので、情報収集&娯楽アイテムとして個人的には「持ち物リスト」に加えておきたい。

■製品による感度の違い
常識的な言葉になってしまうが大手家電で販売されるような大手メーカーの高価格帯製品と、百円均一ショップで売っている製品では明らかに感度が違う。
同じ価格帯の製品同士でも感度が大きく違う場合があり、こればかりは使っている人の話を集めるしか方法が無いが、概ね日本国内のメーカーで5千円以上の価格であれば必要にして十分な感度だろうと思われる。
感度の違いは聞き疲れを左右することもあるが、何よりも山間のキャンプ場で聞こえる微かな放送をしっかり捕らえるか、ノイズまみれで捕らえるかの差につながることもあるので可能な限り高感度なラジオが望ましいだろう。

■周波数帯
ラジオにはAM/FMの2つが用意されてることがほとんどだろう。
最近はどちらか専用に割り切った小型製品も多いが、FMが装備されていればアナログテレビの1~3chの音声が聞けることが多い。
海外旅行や競馬向けに短波帯が入るラジオもあるが、BCLや競馬など短波帯に拘る趣味でなければ日本国内で聞く分に困らないのでAM/FMだけがあれば十分だろう。(2011年7月でアナログテレビは放送を終了するので現在のTV 1ch~12chの音声も聞けなくなる)

■時間帯による受信状態の変化
昼間は何も聞こえなかったのに夜になると多くのラジオ局が聞こえることがある。
これはAMで起きることが多いのだが、電波に詳しいページを検索してみると電離層が原因らしい。
早い話が地上の大きなアンテナから出た電波が地球を飛び出す前に鏡(電離層)で反射されて遠い場所まで届く仕組みがあるそうなのだが、この仕組みは昼間は存在せず、夜になると存在するらしい。
その為、昼間はアンテナから発射された電波は地球を飛び出してしまうので直接受け取れる近距離だけが受信できるが、夜になると地球を飛び出していた電波は電離層によって反射されるので遠くまで電波が届いてラジオ放送が受信できるらしい。
この現象はAMで発生してFMは影響がほとんど無いとか、電離層って不思議な存在だ。

■バーアンテナの向き
AMラジオを聞いている時にラジオ本体の向きを変えるとラジオ局の聞こえ方が強くなったり弱くなったりする、これはラジオの中に「バーアンテナ」が入っているのが原因らしい。
ラジオの外に出ているニョキニョキ伸ばすアンテナはFMにしか使えず、AMは金属のような棒にコードを沢山巻きつけたコイルのようなアンテナがラジオに内蔵されているので、そちらを使うようだ。
このバーアンテナは垂直方向から飛んでくる電波を受け取るのが得意ということで、水平方向ので電波は受け取りにくいことになる。
テントの中で聞いていてAMラジオの声が小さいと思ったら向きを変えて見るのも一つの手なのだろう。

■タイプ別のおすすめラジオ■
以下に勝手な分類でおすすめラジオを参考までに挙げておく。
機能・性能よりも値段優先というのであれば百均ラジオや1000円程度のポータブルラジオ(コンビニでも売っている普通のラジオ)で十分だ。
以下はそれより先の何かを求めた場合に浮上してくる要素として「分類」したものなので、その場合に参考となれば良いと思っている。

◆普通のラジオ
キャンプ場で音を出す機器を使うのは周囲への影響も考慮する必要があるが、小音量でも良い音で聞きたいなどの要望があるだろう。
短波帯などの受信は不要だが、落ち着いて聞きたいという人に以下のラジオはどうだろうか。

アナログ感覚で選局できるFM/AMシンセポータブルラジオ
ICF-M260
希望小売価格: 5,775円
→メーカーの製品紹介ページ

[主な仕様]
・受信可能周波数帯:
  AM:530-1710kHz 9KHz STEP (10KHz)
  FM:76-90MHz 0.1MHz STEP (0.05)
・電池持続時間:(1)マンガン電池 (2)アルカリ電池
  スピーカー時 FM (1)17 (2)45 / AM/SW (1)23 (2)62
  (約/時間)
・イヤホンジャック:ミニタイプ(φ3.5)
・電源:電池 単3×2
・最大外形寸法:130×80×31mm (幅×高さ×奥行mm)
・質量:260g
・付属品:イヤフォン

◇PLLシンセサイザー方式の選局だが操作はアナログラジオのようにダイヤルを回すだけという簡単ラジオだ。
大きさもカセットケースサイズに近く、電源に単三電池2本を使うだけなので荷物にもならないはず。
受信周波数はAM/FMに限定される至って普通のスペックだが、大きさと音質の良さを考慮した場合に高い評価を得ているし、価格も他の高機能ラジオと比べた場合に安い部類となるのでお薦めの一品だ。

◆カード型ラジオ
小型軽量に特化した持ち運び時の利便性を優先したラジオ。
個人的には軽量化を優先するなら、このラジオを推薦する。
アナログチューニング式とPLLデジタルチューニング式の2種類が存在するが、周波数のドリフトなどを考慮するとPLLデジタル式が有利だ。(但し、デジタル化の分だけ電池の消費が激しくなる)
このタイプはスピーカーで聞くよりイヤフォンで聞くことをメインにしないと不満だらけになる。
内蔵スピーカーは小さすぎて音が聞き取りにくいので「オマケ」もしくはイヤフォンが断線などで壊れた時の非常用と考えよう。

山ラジオ
SONY ICF-R100MT
オープン価格
→メーカーの製品紹介ページ

[主な仕様]
・受信可能周波数:
  AM:531~1710KHz 9KHz STEP
  FM:76~108MHz 0.05MHz STEP
・電池持続時間:(1)マンガン電池 (2)アルカリ電池
  イヤフォン時 FM (1)14 (2)40 / AM (1)32 (2)72
  スピーカー時 FM (1)4 (2)5 / AM (1)5 (2)17
  (約/時間)
・イヤフォンジャック:ミニタイプ (φ3.5)
・電源:単4×1 (乾電池/ニッケル水素電池)
・外形寸法:55×91×12.3 (幅×高さ×奥行mm、突起部除く)
・質量:73g (ニッケル水素電池搭載時)
・その他:バックライトディスプレイ/アラーム機能

◇山に特化したラジオ。
選曲を楽にするために日本百名山を中心に117の山を20のエリアに分割して山の名前から付近の放送局を簡単に選局出来るようにする「山エリアコール」が装備されている。
他のエリアコール装備ラジオは都市部を起点として考えられているので、都市と都市の中間点に位置する山岳地帯やキャンプ場ではエリアコールの機能を活かせない場合が多かったのを改善したものだ。
その他のメリットは単四電池1本で駆動することとバックライト機能。
ベースは名刺サイズラジオなのでAM/FMともに感度の評価は高く安定している。
また、巻き取り式のイヤフォンが内蔵されているのでパッキング時にイヤフォンを忘れてしまったなどのトラブルが発生しないのも嬉しい。(巻き取り式のイヤフォンはFMアンテナの役目も兼ねている)
このモデルでは短波帯のラジオNIKKEIを受信できないので日中の山間部では何も受信できない可能性がある。
山エリアコールなど幾つかの機能に差異が出るが、ICF-RN931などの機種ではラジオNIKKEI専用の短波帯モードが装備されているので気になるならラジオNIKKEIが受信できるモデルにしたほうがいいだろう。

◆ライターサイズラジオ
名前が示すとおりカード型ラジオよりも更に小型化したラジオ。
このタイプはスピーカーを廃してイヤフォンのみで聴くことに特化し、巻き取り式イヤフォンなどは装備しないモデルがほとんどだ。
また、サイズの関係でアナログチューニング方式を採用するモデルが多く、スペースの都合なのか感度を上げるための仕組みも無いモデルが多いのでカード型ラジオよりは受信感度に一歩劣るケースが多々ある。
気象情報などは携帯電話で入手するので完全に娯楽と割り切り、使用頻度も低い場合はなんとかなるだろう。

FMステレオ/AMポケッタブルラジオ
SRF-S86
希望小売価格: 4,725円
→メーカーの製品紹介ページ

[主な仕様]
・受信可能周波数帯:
  FM:76~108MHz
  AM:530~1605kHz
・電池持続時間:(1)マンガン電池 (2)アルカリ電池
  イヤフォン時 FM (1)19 (2)44 / AM (1)23 (2)52
  スピーカー時 FM (1)-- (2)-- / AM (1)-- (2)--
  (約/時間)
・イヤホンジャック:ステレオミニ(3.5φ)
・電源:単4×1 (乾電池)
・最大外形寸法:41×79.5×20mm (幅×高さ×奥行mm)
・質量:61.2g (電池含む)
・主な付属品:ステレオイヤーレシーバー、乾電池

◇小型化のみを追求したラジオ。
スピーカーは内蔵しておらずイヤフォンは別体式なので、イヤフォンを忘れると使えなくなる。
また、アナログ式なので気温によって受信周波数が少しだけ移動する「ドリフト」が発生する可能性がある。
大きさだけがメリットなので多目的な利便性は排除されていることに注意すれば使えるラジオだ。
勿論、ラジオNIKKEIなどの短波帯は受信できない。

◆本格的なラジオ
大昔、BCLという海外のラジオ局(日本向け日本語放送)を受信する趣味が流行ったが、そんなBCLラジオを思わせるラジオ。
機能は多くないが海外旅行や海外出張にも持っていくことを想定しているので品質はそれなりに良い。
アナログ式とデジタル式に分かれるが、このクラスのラジオをキャンプに使うのであればアナログ式で十分だろう。(小型化された製品よりは安定度に対する考慮がされている)

FM/MW/SW1-7 ワールドバンドレシーバー
ICF-SW23
希望小売価格: 14,280円
→メーカーの製品紹介ページ

[主な仕様]
・受信可能周波数帯:
  AM:530-1710kHz
  SW:短波受信周波数表を参照
  FM:76-108MHz
・電池持続時間:(1)マンガン電池 (2)アルカリ電池
  スピーカー時 FM (1)22 (2)60 / AM/SW (1)22 (2)60
  (約/時間)
・イヤホンジャック:モノラル
・電源:電池 単3×2
・最大外形寸法:116.5×72.5×28mm (幅×高さ×奥行mm)
・質量:200g

[短波受信周波数]
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 バンド:周波帯(kHz):主な放送局
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 75m 3625-4275 ラジオNIKKEI
 49m 5775-6425 ラジオNIKKEI、ラジオ韓国、VOA
 31m 9375-10025 ラジオ日本、ラジオNIKKEI、BBC、VOA、ラジオ韓国
 25m 11615-12265 ラジオ日本、BBC、VOA、DW
 19m 15000-15650 ラジオ日本、VOA、BBC、ラジオフランス
 16m 17500-18150 ラジオ日本、BBC、VOA、ラジオオーストラリア、DW
 13m 21325-21975 ラジオ日本、ラジオオーストラリア、DW
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◇このラジオをキャンプに使用するとオーバースペックだと思われるが、更に上のスペックを持ったラジオも存在するので、これはその一端と参考までに紹介しておく。
主にラジオNIKKEI、ラジオ日本(海外居住の日本人向けの国際日本語放送、アンテナがアジアや大陸に向いているので日本国内では受信できないエリアも存在する)を意識した作りだが、品質的にはかなり上の部類なので安心して使えるだろう。

■中華ラジオ
ホームセンターなどを中心に高機能だが格安な中国製ラジオが出回っている。
仕様を見るととても魅力的に見えてしまうのだが、値段なりの性能という落とし穴もあるので注意が必要だが機能は十分なものを持っているので、見かけたら手にとって見るのも良いだろう。

AM/FM/短波ラジオ
ELPA ER-21T
価格:実売2,000~2,500円程度
→メーカーの製品紹介ページ

[主な仕様]
・受信可能周波数帯:
  FM:76-108MHz
  MW:525-1610KHz
  SW1:3.85-4.05MHz
  SW2:4.70-5.10MHz
  SW3:5.95-6.20MHz
  SW4:7.10-7.30MHz
  SW5:9.30-10.00MHz
  SW6:11.65-12.05MHz
  SW7:13.60-13.80MHz
  SW8:15.10-15.60MHz
  SW9:17.55-17.90MHz
  SW10:21.45-21.85MHz
・電池持続時間:アルカリ電池の場合
  スピーカー時 FM 80 / AM 90 / SW 90
  イヤフォン時 FM 150 / AM 200 / SW 250
  (約/時間)
・イヤホンジャック:モノラル3.5φ
・電源:電池 単3×2
・最大外形寸法:122×75×28mm (幅×高さ×奥行mm)
・質量:178g

◇大きさもカセットケースに近いサイズで短波も受信可能、バックライトも装備という内容にもかかわらず実売が2500円程という格安マルチバンドラジオ。
このラジオはアナログ式にデジタルディスプレイを合体させた内容だが、困ったことに周波数が少しずつ移動していく「ドリフト」が発生しやすい機種でも有名。
ドリフトの原因はチューニングダイヤルに使用している糸の伸縮のようだが、周波数を変更した直後はドリフトが発生しやすいが落ち着いてしまえば安定するようなので本当の意味のドリフトではないと思われる。(ラジオで言う本当のドリフトは温度変化で電子部品の性能が変化し、周波数を作る部分の根元から動いてしまう状態を意味するようだ)
そんな選局部分の不便さを持っているのにこのラジオを紹介するのは電池の持ちとバックライト装備にある。
スピーカーを使用しても最大で90時間、イヤフォン使用だと最大で250時間という異常な低燃費。
さらにデジタル表示の液晶にはバックライトも装備されているので暗闇の中でも選局が行える便利さはキャンプにとって非常に有り難い機能でもある。
WEBの情報を集めると他にもマイナス点があるらしく、音質は割れたような音の感触なので小音量で聞くのが良いのと、受信感度的もICF-SW23やICF-M260などと比べると落ちる内容らしい。
普通にラジオを聞くだけの範囲ならば気にならないが、高性能を求めるのであれば回避するのが懸命というところだろう。
「価格」「電池寿命」「バックライト」の3点に利点を見出せるのであればお薦めだ。

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