初めてキャンプツーリングをする人のきっかけは十人十色だと思うが、家族や親しい友人がキャンプ経験者であるか、自身が過去に他の趣味(釣りなど)で野営の経験があるなど多少なりとも知識・経験が無い場合には最初に「何を」「どれだけ」揃えればいいのか困ることが多いはずだ。
私自身も同じ道を辿っており、幸いにも出先で途方にくれることはなかったが紙一重の差であったのかもしれない。
キャンプツーリングをはじめる人は可能な限り経験者(それも程々の経歴を持つ人)に同行してもらうのが安全で非常に高い経験値を得ることができる近道だ。
その時の経験は時間が経つにつれて自分へフィードバックしてくる。
さて、それでも手ぶらでキャンプ場へ向かうわけにはいかないので、最低限の装備が必要となる。
少々乱暴だが以下の品が最低限必要な品だろう。
・テント
・マット
・寝袋
・灯り
・食器
・調理器具
季節は「夏」、場所は標高1000m以下の平地で設備の整ったキャンプ場という設定で考えている。
「調理器具」「食器」に関しては醍醐味に欠けるものの食料を現地調達するか、外食で済ませる方法でパスすることが出来る。
すると残るのは「テント」「マット」「寝袋」「灯り」の4点が最低限必要な装備といえるだろう。
(私の場合はホームセンターでテント・マット・寝袋一式を1万円かけないで揃えた)
■ テント ■
テントは最初に高機能な製品を揃える必要は無く、むしろ安い製品を気軽に使ったほうが後々のテント選びに有効となるので気軽に選んだほうがいい。
最初に低予算で揃えるならば、お薦めは以下の2製品。
これらは耐水性など劣る点はあるが、はじめてキャンプするには必要十分なスペックを持ち大事に至ることは無い。
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2013年9月現在、「入荷待ち」となっているテントだが先に紹介した2つのテントに無い「両面ドア
」を持つ低価格テントだ。
春や秋であればさほど気にならない「熱気」を夏場は確実に逃がしてくれるので、待てるならこのテントを強くオススメする。
もう少し予算を取れるなら、下記の2つのテントも購入候補に入れても良いだろう。
どちらも居住性と作りのよさを感じることが出来、ソロキャンプのファーストテントとしては申し分ない性能を発揮してくれる。
少々重量があるが、雨の日にテントの中で過ごすことになれば前室の広さに値段を超えた価値を見いだすことが出来る。
特に両面ドアに加えてミニタープ化できる前面のダブルジッパーのドアはキャンプに慣れてくると非常に便利に感じる。
雨が降っていなくても夜露で地面がビシャビシャに濡れることもあるが、その場合にも対応できる余裕を持っている。
前モデルのR-125から若干スペックダウンして前々モデルのR-134相当に戻ってしまったが、それでもソロテントの中では実力を発揮して定番モデルを維持している。
重量・収納サイズともにトップクラスのコンパクトさを持ち合わせているので、積載スペースに制限が大きいオフ車などでは確実に検討対象に入るであろうテントだ。(問題は値段だけ)
■ マット ■
マットは最初に銀マットをイメージすると思われるが、寝心地はそれなりでしかない。
私がキャンプツーリングをはじめた頃はインフレータブルマットも高価だったが、今は安価で性能が良い製品も多く、経験値を得る意味で銀マットから揃えるのも良いが、予算が許すならインフレータブルマットを購入したほうが良い。
銀マットは何時でも、何処でも入手可能な品なので、ツーリングの雰囲気を高めたいなど寝心地とは別の価値観を見い出した時にチョイスすれば良いと思う。
一般的には空気の層で凸凹を吸収してくれるインフレータブルマットならば疲れを残さずに睡眠をとることが出来るとされているし、私も同じ考えだ。
いわゆる「銀マット」。
手軽に広げて手軽に撤収可能だが、寝心地は良いとは言えない。
ホームセンターなどでも売っているので気になる人は手にとって見れば感覚がわかるかもしれない。
低価格でインフレータブルマットが入手できる。
銀マットと違い格段に寝心地が向上するインフレータブルマットは今まで1万を越える価格が普通だったが、今では3千円ほどで入手できる時代になった。
但し、サーマレストなどの高価な製品を出しているメーカーとの違いは素材の良さに加えて冷え込んだときの保温能力。
晩秋のキャンプ場では低価格インフレータブルマットでは地面の冷気を感じることがあるかもしれないので価格なりの性能と割り切って使うことが大事だ。
参考までに高価格帯のマットを紹介しておく。
このマット、価格も実売で1万2千円ほどするなど破格だがスペックを見るだけでも納得できる。
まず重さがバンドック インフレータブルマットの半分、実物を手にすれば素材の肌触りの良さを感じるはずだ。
中のスポンジの形状・配置も氷点下まで冷え込んだ状況を前提に設計されているので確実に体を保護してくれるが…最初のキャンプにそこまでのスペックはいらない。
私も最初のキャンプはただの「銀マット」で過ごし、気温-2度まで体験してしまうことになったが大事には至らなかった。(シュラフも夏用だったので眠れない夜になってしまったが)
お験しキャンプではないのであれば最低価格のマットと上記のサーマレスト プロライトの間で重量・収納サイズなどを見て自分のスタイルにあった品を選べばよい。
■ シュラフ ■
シュラフに関しては大きさと機能で千差万別、幅広いチョイスが可能だが、一般的に材質が「ダウン(羽毛)」と「化繊」の2種類に分類され、形状も「封筒型」と「マミー型」に分類される。
最初に揃えるシュラフで夏場の低地限定ならば封筒型の化繊シュラフで十分だろうが、封筒型はマミー型と比べてサイズが大きくなってしまう欠点を持っている。
バイクに積む荷物としては少しでも小さい方がいいので、ここではマミー型に絞ってチョイスしている。
大きさは保温機能そのものに直結するので製品に適応温度が明記されている品を選ぶのが良いが、「快適睡眠温度域5度から」などと記述されている場合、温度を3~5度ほど上乗せして考えたほうが懸命だ。
この「快適睡眠温度」は目安としかならず、外気温が対応温度の限界ギリギリまで下がっているときは正直なところ「寒い」と感じる。
夏場でも森林の中などでは冷気がこもっていることがあり、あまりにも低機能なシュラフの場合は最悪、眠れない可能が高くなるので注意したほうがいいだろう。
また、夏場でも標高1500mを超える高原や山間部の間にある小さな盆地でも思わぬ低温に出会う時もあるので、シュラフには予算を多めに割り振るのが懸命だ。
マミー型のシュラフで低価格、且つ、ほどほどのスペックでは、この製品がオススメだ。
難点が収納サイズが大きめなので貴重な荷物スペースを潰してしまう可能性があること。
これらは化繊シュラフである限り逃げられない結果なのだが、高価なシュラフをいきなり揃えるのもアドバイザーが居ない時は無理が出てしまうので最初はこのレベルで十分だろう。
但し、快適使用温度が11℃というカタログスペックだ。
実際には表記温度に+5℃した数字が本当に快適仕様温度とおもったほうがいいくらいなので、外気温が10度を下回る季節・場所では能力不足=眠れない夜になると思ったほうがいい。
収納サイズを小さくしたい人にはこちらがオススメ。
メーカーも山岳用品で定番のプロモンテ(ダウンロップの山岳用品ブランド)なので品質も万全だ。
このシュラフも快適温度が10度以上となっているので、実際には15度くらいまでが快適温度と考えるのが無難だ。
ここで化繊シュラフを推奨するには別の理由もあり、ダウンシュラフは小型に収納できて対応温度も申し分ないのだが大きな欠点として「濡れる」ことに非常に弱い性質を持っている。
そのために大抵はシュラフカバーと併用するのだが、雨に出会わない時でも使用者自身の汗などで湿気を含んでしまうので、撤収前もしくは帰宅後(次の宿泊場所)で寝る前に陰干しするのが一般的となっている。
そこで最初に揃えるのであればパッキングスペースは多めに必要とするが化繊シュラフのほうが万が一に濡れたとしても乾かすのが容易なのでお勧めとなる。
上記のお薦め以外に、もっと低温に対応した製品が欲しい場合、以下はどうだろうか?
こちらも山岳用品で定番のメーカーのイスカが出している化学繊維でダウン並みのスペックを誇るシュラフだ。
価格も1万円を超えてしまうが適用温度が「0度~」となっているので、外気温が5℃くらいまで下がっても十分対応できる。
春・秋のキャンプが多くなりそうな場合はこの価格帯のシュラフを購入するのが良い。
また、ダウンシュラフになるとどの程度の恩恵があるのかという参考として以下のシュラフを紹介しておく。
イスカの2013年新製品だが、快適温度2度~の設定となっているダウンシュラフだ。(これより上位の温度設定の製品も存在する)
価格は1万6千円ほどと気軽に手を出せる領域ではないが、収納サイズもアルファライト500Xの直径18×34cmから直径14×28cmに大きく縮小している。
但し、最初からダウンシュラフを使うのは個人的にオススメしない。
まずは化繊シュラフで「汚し方」を一通り経験してからダウンシュラフに移行することをお薦めする。
(山岳部在籍で最初から春の3000m級に登るなどの場合はダウンも選択肢に入るかもしれないが…)
ここまでで「寝る」というキャンプ最大のイベント?はクリアできると思う。
次に闇世の中で活動するために必要な明かりを紹介したい。
■ 灯り ■
次に「灯り」となるが、まずイメージされるのがガスランタンだろう。
テントサイトに暖かい火を灯す意味ではランタンが必要だが、ヒネクレ者の私は敢えてヘッドランプを勧めたい。
闇夜で振り向いた先の視線を常に照らしてくれる機能は非常に有難く、そして、便利だ。
最近ではLEDヘッドランプが普及して様々な製品を選べるようになっているので好きなものを選べばいいだろう。
日本一周でもするなら別だが、大抵の人は週末に一泊、もしくは連休に2泊か3泊程度のキャンプだと思われるので、LEDヘッドランプならば電池を交換することなく乗り切ることができる。
LEDヘッドランプを選ぶ場合、2つの機能で選ぶと安心だ。
1つは照射範囲、もう1つは使用電池。
照射範囲については近くを照らすのか、それとも遠方まで照らすのか程度の差しかないが、遠方まで照らす製品の場合はハイワッテージなLEDを別に備えているなど複合要素が多くなり、価格も上になる。
大抵の製品は普通の形状(弾丸のような形)のLEDを3個ないしは5個程度搭載しているが、これは近距離を広範囲に照らすことに長けている。
遠方まできっちり照らす場合には1W程度のハイワッテージLEDを別に搭載していることが多く、リフレクタなどで光を集めていることから近距離を広範囲に照らすことには向いていない製品も多い。
一昔前は手元を広範囲に照らすためにLEDを装備し、遠方をスポットに照らすためにフィラメント級を装備した複合型ヘッドランプが多数存在した。
調節機能がある場合にはこの限りではないが、明るすぎると逆に使いにくいことも多いので「大は小を兼ねる」が通用しないケースだと思ったほうがいい。
電池についてはCR2/CR123などのリチウム電池を使用したものと、単三もしくは単四電池を使用した製品に大きく分かれる。
どちらも一長一短の性質を持っているが、最初に購入するのであれば単三もしくは単四電池を使用した製品を購入するのが無難だろう。
リチウム電池は高価な上に地方では入手しにくいときがある。
最近はどこにでもコンビニがあり、カメラ用電池としても流通しているCR2/123も置いているが価格も高く常に在庫がある保障は無い。
それからすると単三・単四電池は確実に入手可能な電池なので困ることは無いだろう。
ただし、入手の容易性と引き換えに重さと質量がリチウム電池を使用する製品と比較して犠牲になっている。
軽さを追求するのであればリチウム電池採用の小型ヘッドランプが使いやすいかもしれない。
LEDヘッドランプでは定番とも言えるPETZL(ペツル) の製品だ。
電源に単四電池を2本使用し、他の電池を3本単位で使用する製品と比べて電池のローテーションを効率よく行える。
低価格ヘッドランプでは明るさを変えることが出来ない[ON][OFF]だけの機能しか持たない製品が多く、最大光量で照らすので真っ暗闇の中では眩しく感じることも有る。
ティキナ2は(最大)(エコノミー)と2段階の照射レベルを持ち、最大照射時間は190時間(エコノミーレベル)を誇る手元を照らすだけなら高い信頼性と長時間を両立させたお手軽モデルだ。
欠点としてはLEDが通常型2個なので最大光量は低く、キャンプ場内部の移動ではハンドライトが欲しくなるだろうと思える点だ。
LEDライトでは有名なメーカーのジェントスから出ているLEDヘッドライトだ。
価格はティキナ2よりも安い1400円ほど、電源も単四電池2本と都合が良い設計になっている。
複数装備しているLEDを部分的に光らせることで光量を調節しているが、最大光量時で2時間、最低光量時で45時間の連続点灯が可能なスペックとなっており、この点がティキナ2と大きく異なる。
ただし、最大光量はこちらの製品がはるかに上だと思われる(80ルーメンの表記)ので、ヘッドランプ一つで全てを済ませてしまい、且つ、低価格でありたいと願うならこの製品しかないだろう。
また、以下は私が「予算が許すならこれを買え!」とお薦めするヘッドライトだ。
万人向けではない要素も持っているが、キャンプ中に「買ってよかった」と思うことが必ずあるはず。
電源にリチウム電池CR123を1個使用したナショナルの小型LEDヘッドライト。
通常形状の砲弾型LEDを3灯装備しているが[強][弱]の2つのモードを持ち、弱モードでもLEDは3つ点灯しているのでムラなく広い範囲を淡く照らしてくれる。
しかも、[強]モードで使用できないほどに電池が消耗しても[弱]モードで10時間程度使える設計になっており、非常時にも心強い。
角度調整も180度可能なので幅広い活用を行うことができ、個人的に一番お薦めのLEDヘッドランプだ。
70gという軽さとCR123を電源に使用しているので容積的にもコンパクトなのでパッキングも苦にならない。
ペツルの個人使用ではこれ以上に無いくらい定番とも言える製品。
XPにあったターボモードは無くなってしまったが、軽くなってより「個人使用」に適した内容となっている。
電池は単四電池を3本使うが、リチウム乾電池にも対応して低温時の動作に不安を感じさせない設計となっている。
また、スライドフィルタにより集中光と散光が手軽に切り替え可能となっている。
前モデルのXPでは3段階の光量調整だったが、実際には[弱][強](たまに[ブースとモード])しか使わず、[中]を活用する場面はほとんどなかったのでXP2の[弱][強]のみとなった光量調整は不満に感じないだろう。
これがあれば確実にハンドライトは使わなくなる。(※ライトマニアな人を除く)
電池についての補足となるが、リチウム電池は自然放電が少ない特性があるので予備電池として保管しても数年は保持できる。
最近はニッケル水素電池が大容量になってきているが、春・秋のキャンプにも使うのであれば乾電池も同時に持っていったほうがいい。
理由は低温時(気温が0度になる場合と考えてもらっていい)には急に電気を発生できなくなることがあり、アルカリ乾電池と比較して低温耐性は低い。
リチウム電池はニッケル水素・アルカリ電池に比べて低温時でも大丈夫なので心配な人はリチウム電池を選択したほうがいい。(そのかわり1本で700円~800円はする、秋葉原では1本300円以下で入手可能)
一昔前の充電電池として一般的だったニッカド電池はニッケル水素電池よりは低温時の特性に優れているので、容量は少なくなるが経済性を高めたいのであればニッカド電池も有効だ。
それとニッケル水素電池は自然放電(使わない時でも勝手に抜けていく電気)の特性が悪く、数週間も使用しないと半分まで減っていた…ということもあるので予備電池には適さない。
最近は放電特性を改善した製品もあるのでニッケル水素電池を活用したい人は調べてみるといいかもしれない。
灯りネタを更に引っ張るが、ヘッドランプ以外の灯りとしてはハンドライトとランタンがある。
ハンドライトは手軽に使うのであればLEDライトが安価で多種多様な製品が存在するので気に入ったデザインを選べばいいだろう。
ヘッドランプに小型な製品を選んだ場合はハンドライトに程々の光量を持たせたほうが良く、LEDライトにするなら1W以上のスペックが欲しい。(お勧めはGENTOS SuperFireシリーズなど)
明るいからといってフィラメント球を使用したフラッシュライトは選ばないほうがいい。
100ルーメンを超える製品も存在するが、高価なリチウム電池を数本使用して電池寿命は1時間などの製品が多く、また、強烈な光は強烈な熱も伴なうのでバルブの劣化も早い。
しかも長時間の照射を続けるとボディそのものを放熱機構とするので皮手袋などをしていないと熱の為に持つ事が困難になる製品もあるのでキャンプ向けではない。
これは5WクラスのLEDを使用したLEDハンドライトにも言えるので、購入するときは注意が必要だ。
[ランタン]
ヘッドライトが1つあればキャンプで困ることは無い、しかし、それは最低限の装備としての考え方。
頭上のヘッドライトを外してゆっくりしたい時にはカップなどが置いてある周囲のみでいいから手元を照らしてくれる明かりが欲しくなる。
一昔前であればガスランタンかキャンドルランタンしか選択肢がなかったが今ではLEDランタンが主流だろう。
ヘッドライトがあるので電池ランタンは低価格で省スペースにしたいと考えるならこのあたりの製品で十分だろう。
決して良い配光でもないし、便利ではないが、手元を照らすだけであれば十分だ。
残念なのは電池が単四を3本使うことだろうか。
LEDランタンでは定番中の定番ともいえる製品だ。
LEDは冷たい白色系ではなく温かみの有る暖色LEDを採用している。
電源に単三電池を3本使う。
白色LEDの製品だが、こちらも紹介しておく。
最大のメリットはこのサイズで単四電池を使っているのでヘッドランプの電池と予備電池の共用が可能な点だろう。
上記のEX-837NXは単三電池になるので予備電池を持っていこうとすると単四電池と単三電池の組み合わせになってしまう。
電池モノをそろえる時は可能な限り電池を同じ種類に統一しておくと管理が楽になる。
これで「寝る」「灯す」の条件は一応クリアできている。
それぞれのテーマがブログ数回分の情報を持つほどだが「最初に…」をテーマに軽く書いたので、機会があれば私が知っている範囲で細々と書いてみたいと思う。
また、「食べる」に関して今回は省いたが、次回の話題にしてみたいと思う。
(実際にキャンプすると「食」が一番奥深く、そして楽しみの中心になるのだが…)
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