□ 調理の為の熱源 □
調理を行うのに必要なのが[熱]、その熱を得るためには大きく分けて下記の方法がある。
1)ガスストーブ
2)ガソリン(灯油)ストーブ
3)固形燃料
4)炭火
5)焚き火
まず最初にお勧めしたいのが1)のガスストーブ。
キャンプ専用ガスもしくは家庭用カセットガスを使用したストーブ(バーナー)で、火を起こすのに手間がかからず、火力の調整も簡単なので現在はほとんとのバイクキャンパーが主流としているのではないだろうか。
大きさ(パワー)、形状(タンク一体型/別体型)で様々な製品を選ぶことができるので一つは持っておきたいアイテムでもある。
次いで2)のガソリン(灯油)ストーブとなるが、これらは「液燃ストーブ」と呼ぶこともある。
最初にキャンプをするのであれば1)のガスストーブにし、慣れてきたところで液燃ストーブを購入するのがいいだろう。
理由は最初に価格、ガスストーブが燃料込みで5千円しないで揃えることができるのに対し、液燃系は1万~2万が最低価格ラインとなり、併せて燃料の取扱いやプレヒートなどの着火に伴う知識が必要となるなど幾つかのハードルが存在する。
3)の固形燃料は火力が足りないのと、4)5)に至っては手軽さに欠けるので論外。(それを楽しむ考えもあるが、ここでは手軽に調理をする前提としている)
何も道具を持っていない状態から買うのであれば、まずは家庭用カセットガスを燃料とするストーブがお勧めだ。
冬場でなければコンビニで買える家庭用カセットガスが使えるので数泊続けてキャンプする場合でも燃料補給の心配が減る。(キャンプ向けの専用ガスでもキャンプ場の管理棟で販売していることが多いので神経質になる必要はないが…)
ホームセンターでも姿を見かけることがあるイワタニのキャンプ向けガスストーブだ。
決して小さくないし、性能もふつう、しかし昔から定番の商品でもあり、品質・使い勝手には定評がある。
キャンプツーリングを始める人が「料理もするかわからないけどストーブを使ってみたい」と考えるならコレしかない。
キャンプ向けの専用缶(OutDoorでOD缶と表記されることもある)のストーブの中で「定番」の一つ。
同じスノーピークのギガパワーOD缶と組み合わせて使うと外気温が0度近くになっても火力が落ち込むことなく温かい料理が可能。
製品自体も小型なのでパッキングの邪魔にもならず、大きな欠点も無く、プリムスなど他の製品と比べても値段が安い部類に入るので安く・安心して使うことが出来る。
ここ数年の製品だが、マイクロレギュレータ使用で気温に左右されない安定した火力を提供してくれる。
SOTO自身もガスランタンなどでキャンプ用製品の実績がある会社なので安心して使える。
価格帯としては比較的高価な部類に属するが、これから紹介するコッフェルとの絡みもあって紹介しておきたいのがPRIMUS ナノストーブ P-114だ。
本体重量51g(圧電点火装置部13g)という軽量に加え、片手で握ることが可能なほどサイズが小さい。
反面、火力調節ノブの径が小さいなど扱いにくさを持っているが「お湯を沸かす程度」の使い方であれば十二分に働いてくれる。
液燃ストーブに移行した後でも予備のストーブとして持ち歩けるほどコンパクトで軽い。
8千円という価格帯はガスストーブとしては高い部類だが、しっかりした五徳、その五徳もバーナー部を4分割して風防が無い状況でも風で火が消えにくい構造となっている。
火力調節のツマミも操作しやすくしっかりしているので、多少は予算を割いても長く使えるガスストーブが欲しい場合にはこのP-153であれば不満は少ないはずだ。
尚、ストーブには圧電式の着火機構が備わっていることが多いが、これを当てにしてはいけない。
圧電着火部分の故障もあるが、標高が高い場所などでは着火に失敗することが多く、コンパクトなガスライターなど火を起こす道具を使うことが多い。
「火花」と「火」の差は野外で如実に出るのを痛感しない為にも小さなライターやマッチは必ずセットで持っていくことをお勧めする。
□ コッフェル □
一口に「コッフェル」と書いてしまったが、調理を行うための器(鍋)という解釈でかまわない。
キャンプ用品として売っているコッフェル以外にも中華鍋やダッチオーブン、果ては土鍋まで持ち歩く人がいるので自分が使いやすい品を幅広くチョイスできる分野でもある。
コッフェルに使用されている材質は大きく分けて「チタン」「ステンレス」「アルミ」に分かれる。
チタンは軽くて丈夫だが肉厚が薄く、チタンそのものが熱伝導しにくいこともあってストーブの熱がコッフェル全体へ均等に伝わらないために米を炊いた時なは熱源部分が焦げてしまうなど得手不得手がある(バーナーパットなどを利用することで解決できる。)
最初に購入するのであれば使い勝手の良い「アルミ」をお勧めする。
オールマイティに使えて収納の効率も考えるとコレがお薦めだ。
更に小さなカップ、またはシェラカップを揃えれば十分だろう。
これをお薦めする最大の理由はパッキング時に中へストーブやガス缶が入ることだ。
空いている中の空間を利用して他の荷物を入れてしまう事で省スペース性を高めることが出来る。(ジュニアストーブも入ってしまう)
OD缶も250gサイズがスッポリ入るので、コストパフォーマンスが悪い110g缶に拘る必要もない。
欠点としてはお湯を沸かすだけだと不要にサイズが大きいことだろうか。
ガス缶がコストパフォーマンスが悪い110g缶でも良いと考える人ならこちらがお薦め。
コッフェルの中に110gガスOD缶が2つ入る。
また、シェラカップの代わりになるカップ(約350ml)と蓋が付属するので、ソロキャンプで簡単な湯沸しにインスタントラーメン系で食事を済ませる人ならコレ1つですべてを賄えてしまう。
尚、先に紹介したトレック900の中に「焚」がセットで収納可能なので、セットで揃えればシステム的に組み合わせを変更することが出来る。
システム的にオプションが組めるのはプリムスでも可能だ。
容量840mlのポットには110gOD缶が収納可能となっており、先の紹介したP-114ストーブも一緒に収納できる。
ミニポットは485mlの容量を持ち、蓋も付属する。
スノーピークの焚と大きく異なるのは、オプションで蓋部分に重ねるフライパンが追加可能という点だ。
更にワンサイズ大きめのポットを用意すればその中に収納するスタッキングも可能。
□ その他 □
食べるからには箸なりフォークなり何かが必要、しかも調理するならその他にも…
この「その他」に関しては個人の遊び処というか、他人の装備が気になって仕方がないという、ともかく十人十色で面白いジャンルだ。
最初は折りたたみのフォーク・スプーンあたりからはじめるのだが、コンビニの割り箸が便利だったりとキャンプを重ねるごとにアイデアが閃いたり他人から貰ったりと常に変化していく。
私もここ数年で大きな変化となったのは下のトング付ハサミ。
単に調理ハサミの先がトング上になっただけなのだが、ともかく便利。
特に焼き物をするときはフォークとトング付ハサミの2つだけで用を足してしまう。
掴んで良し、切って良し、素材をひっくり返すのも簡単と便利なので一度は使ってみることをお薦めする。
尚、100円ショップにあるもので十分です…私は100円ショップの品を使っています…ボソ…
あとは個人の好みでマグカップや箸・スプーン・フォークなど好みのものをそろえればいい。
高価なキャンプ専用品でもいいし、百円均一ショップの品でもいい。
自分のスタイルと合致し、デザイン・品質が満たされていればいいのだから。
また、調理をするならお薦め調味料がクレイジーソルト。
岩塩にハーブがミックスされた調味料なのだが、肉にまぶして焼くなど応用範囲は広い。
他は醤油、食塩、胡椒など好みに応じて持っていけばいいが、ミニボトルなどで購入しても意外と場所をとってしまう。
そこで小分けにして持っていきたい時には旅行用グッズを取り扱っているお店の樹脂製ミニボトルがお薦めだ。
親指の大きさ程度のボトルであれば一泊から二泊程度のキャンプで十分な調味料を持っていくことが出来る。
このボトルだと一泊程度のソロキャンプでは、胡椒など濃い味の調味料は持て余すサイズだ。
15mlも容量があれば十分なので、これよりも小さいボトルを調達し、そのかわり塩コショウや七味唐辛子など好みのものを少量だけ持ち歩くと現地で調達する食材に対応しやすくなる。
私の場合、このボトルにインスタントコーヒーを入れて持ち歩いている。
個人差があるだろうが、30mlサイズだと週末の一泊ソロキャンプで丁度良いサイズだ。
尚、私が今まで持ち歩いた調味料で使用頻度が高いのは以下のものになる。
・荒塩
・醤油
・塩コショウ
・クレイジーソルト
・ガーリックパウダー
・ごま油
特にクレイジーソルト・醤油・ごま油・荒塩は特に使用頻度が高い。
これは料理の内容で大きく変わるので一つの例だと思っていただけたら幸いだ。
最初はパッキングも予想外に大きなサイズになるなど色々あるかもしれないが、慣れてくれば効率良い内容になり、余ったスペースに遊び要素を持った品、またはとことん省スペース化されてウルトラライトパッキングに目覚めてしまうなど人によって進む道が異なっていく。
「これが完璧」という一つの回答は無い。
日程・季節・場所・目的に応じてフレキシブルに装備を変更できる人が「完璧」なのかもしれない。
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