簡単なスペックは以下の通り。
メーカー:DOMETIC
型番:RC1602EGC
外形寸法:W50×D44×H45.8cm
容量:33L
本体質量:16.0kg
定格消費電力:75W
容量は33L、外形寸はW50×D44×H45.8cm、「ポータブル」と称してるがサイズとしては大きい部類だろう。(持ち運びができるので「ポータブル」の名前に嘘偽りはないが…)
モービルクール3WAYの最大のメリットは一般的なカセットガス燃料(以下、CB缶と略)を使用して冷却可能な点。
もちろん家庭用電力のAC100V・車で利用可能なDC12V(シガーライターとも呼ばれている)による冷却も可能だが、使用条件に合わせてカセットガス缶(CB缶)による運用も可能というフレキシブルな対応が本製品の最大のメリットだ。
その最大のメリットであるCB缶に関してはメーカー側から「カセットガス1本(250g)で約24時間使用可能」と謳われており、キャンプ時はもちろん、非常時でも冷蔵機能を手軽に得られる貴重な手段になる。
また、CB缶による動作中でも少量ながらも氷を作ることが出来る能力まで備えている。
これは内部の冷却を行う触媒(金属の板)に金属製の製氷皿を密着させて氷を作る仕組みなので、モービルクールの内部がすべて冷凍庫になる訳ではない。
キャンプ時であれば出来合いの氷を買ってくるのが手っ取り早く、災害時には水そのものが貴重になっているはずなので少量の氷を用意できても大きな意味は無いだろう。
これは「氷も作れるほどの冷気を作り出せますよ」的なオマケ機能として扱うのが妥当だ。
この製品を購入したのは年の暮れだが、夏の炎天下で冷却具合を確認してみた。
8月の晴れた日の午後1時、日陰となる屋根つきのガレージに設置。
目安として日中の最高気温は34~35度、深夜から早朝にかけての最低気温は26~27度、屋根つきのガレージだが扉などはなく風の通りも悪い。
温度計を2つ用意し、一つはモービルクールの中に置いて庫内の温度を計測、残る一つはモービルクールから50cmほど離れた場所に置いて外気温を計測。
途中で運転モードを強→中→弱と切り替え、CB缶の消費具合や生成された氷の解け具合などもチェックしている。
■1日目
時刻/運転モード/庫内温度(外気温)
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09:00 強 29.8 (29.8)
10:00 強 17.0
11:00 強 13.0
11:30 強 11.0 (29.6)
12:00 強 10.0 (31.1)
14:30 強 6.4 (33.7)
16:00 強 10.6 (32.8)
18:00 強 8.3
20:00 強 6.3 (29.8)
23:30 強 4.3 (27.5)
→CB缶を交換(2本目へ)
0:00 氷は製氷皿の金属に近い部分に少しだけで来ているだけ
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朝の9時から夜の11時30分まで[強]モードのまま運転してガス缶を使い切っていた。(ここでガス缶を交換した)
また、製氷皿に入れた水は00:00の段階で製氷皿の金属に近い部分は氷となっていたが、水と氷で半分ずつの状態。
完全な氷をつくるには強モードで1日使うようだ。(カセットガスは2本必要)
このテストは運転開始時の初動を確認するのが最大の目的であったために記録も頻繁に行っていたが、ここから先は手を抜いて行っている。
■2日目
時刻/運転モード/庫内温度(外気温)
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01:00 中 3.8 (26)
07:30 中 0.3 (27)
この時点で製氷皿の中はすべて氷になっていた
09:00 中 1.7 (30)
15:00 中 7.2 (31)
18:00 中 6.8 (30)
02:00 中 1.1 (27)
→ガス缶を交換(3本目へ)
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ガス缶を交換後は運転モードを[中]にしてテスト継続。
07:30には庫内温度も限りなく0度に近くなり、製氷皿の水は完全に氷になっていた。
そのまま運転を続けたところ、外気の温度上昇に影響されて庫内温度も6.8度まで上昇したが製氷皿の氷は自らの冷気も手伝ってか溶けていなかった。
夕方からは外気温も下がってきたので日付が変わったAM2:00には庫内温度は再び1.1度まで下がっている。
ここでガス缶は残りがほぼゼロになっていたので交換した。
■3日目
時刻/運転モード/庫内温度(外気温)
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10:00 [弱] 2.9 (30)
11:30 [弱] 5.2 (32)
12:30 [弱] 6.8 (33)
→氷が少し溶けている
13:00 [弱] 7.8 (34.2)
15:00 [弱] 8.1 (33)
16:30 [弱] 7.4 (31.4)
→氷はほとんど溶けている
17:30 [弱] 7.4 (31)
19:30 [弱] 7.2 (29.5)
21:00 [弱] 6.4 (28.6)
02:00 [弱] 3.4 (27.7)
→氷が出来つつある状態
実験終了
終了時点でCB缶の残量はゼロ
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以上となる。
CB缶の消費量は、[強]だと1日持たず20時間程度で空になる。
[中]で24時間持つようになるが、[弱]でも同じようなので劇的に燃費が上がる訳でもなさそうだ。
ちなみにCB缶は百円均一ショップで入手したものを使用している。
氷の作成については予備冷却なしの常温状態から作動させた場合、1日運転させないと庫内の温度が下がっていないので氷が出来ないようだ。
これは他の人のブログなどを見ても通常のキャンプで使うのにAC100Vで1日運転させて庫内を冷え込ませているので冷蔵庫として逃げられない宿命だろう。
また、外気温に左右される構造なので、外気温が34度まで上昇した時に[弱]モードで7.8度まで庫内の温度も上昇している。
運転モードを[強]にすれば3度や4度まで下げられると思うが、食べ物・飲み物を冷やす設備が無い状況では十分な性能だろう。
また、今回は実験として庫内に500mlの水が入ったペットボトルを1つだけ入れておくに留まる。
初期運転の効率の悪さはあるが、庫内にたくさんの飲食物が入った状態では飲食物そのものが冷却材になるので外気温が上昇した場合の庫内温度の上昇は少しだけ抑えられる可能性がある。
バイクのキャンプツーリングでは使用しない(できない)機材だが、車のサポートがある場合などには有効だろう。
え?そんなキャンプツーリングしないって?それもそうですね。
私もたまーに家族で行く車のキャンプと純粋に防災道具として購入しましたから…
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