懐炉(カイロ・ハンディウォーマー)には「暖」を発生させるための方法は大雑把に分けると以下の4つだ。
・酸化鉄系
・ベンジン系
・炭系
・電池系
「酸化鉄系」は御馴染み使い捨てカイロだ。
これは空気中の酸素をベースに化学反応で熱を出すので臭いもなく安全な部類だが、熱量は多くない。
そのかわり、貼るタイプなど様々な使い方が可能なメリットもあるので最も手軽だろう。
気にする点としては2年以上の長期間保存を行うと持続時間や発熱量が著しく落ちるケースがあるので、基本としては購入したシーズンに使い切るくらいの気持ちでいたほうが良い。
「ベンジン系」はハクキンカイロで有名な昔ながらのカイロだ。
ホワイトガソリン(ベンジン)を燃料として使うが、燃やしているのではなくプラチナの触媒によって「反応」させて熱を出しているのが基本原理だが、最も多くの熱量を共有し続けることが可能なので根強い人気がある。
ハクキンカイロの基本的なモデルでは約24時間の持続時間があるのも人気の理由ともなっている。
欠点としてはベンジンが揮発する独特の臭いがするので、嫌な人はとことん嫌がる。
「炭系」は名前の通り木炭などを燃やして熱源とするので、小さな豆炭アンカと思えばいい。
熱量はそこそこあるがベンジンカイロと比較すると物足りなさを感じるだろうが、優しい熱なのと、臭いが炭の臭いなのでベンジン系より受け入れやすい。
欠点は専用の炭の入手に困ることがあるのと、炭が燃焼中に中で折れてしまうなど気を使う点がある。
「電池系」ここ数年の間に新しく出来たジャンルだが、サンヨーが消えてしまった今では正直お薦めできない。
大柄なボディの割に温かくなるのは片面だけの製品がほとんど(サントーのエネループカイロには両面タイプが存在した)であることと、内蔵電池が劣化しかかっている間は徐々に稼働時間が短くなるので中途半端に感じてしまし、基本的に電池交換は無い。(交換にかかる費用で新品が買えてしまう)
また、稼働時間も数時間という短さなので、通勤や日常生活で使用するなら十分使えるがアウトドアでは数時間は短すぎる。
更に充電に使用時間以上の時間がかかるので電力を使い切ってしまうとお荷物になってしまう。
エネループカイロでは単三型ニッケル水素電池を使用する製品があったが、それなら電池交換で対応できるし、毎年新しい電池に交換しても大きな負担ではないのでメリットを見出すことが出来たが、ここ最近の製品はポリマー電池を内蔵した製品ばかりなのでお薦めできない。
と、大雑把にメリット・デメリットを書いて見たが、キャンプで使うなら「ベンジン系」一択だろう。
外気温が10度を切ると熱量的にベンジン系しか選択肢が無くなる。
特に使い捨てカイロはゴミが増えることになるので、連泊した場合などは固まった冷たい物体が増えるので撤収時に少々嫌になる。(ゴミ持ち帰りのキャンプ場などでは特にそう思う)
ナチュラムで取り扱っているカイロの中から個人的にお薦めなのをリストアップしてみた。
・参考価格2,954円(税込3,190円)
・本体サイズ:H10.0×W6.8cm×D1.5cm/60g
・付属品:ウォーマー本体(真鋳製)/注油カップ/フリース袋/ZIPPOオイル/取扱説明書
・メーカー品番:ZHW-15
・本品はオイルを燃焼させて発熱させるのではなく、蒸発したオイルがプラチナ触媒を通過する際に発生する酸化熱を利用した化学カイロです。しかも、使い捨てカイロのように使用後にゴミを出すこともなく、オイルを補充することにより繰り返しご使用いただけます(※バーナーは消耗品につき、シーズン毎にお取替えください。)
ハクキンカイロOEMのベンジン系カイロだが、ベースモデルはPEACOCK(3R)なので定番中の定番とも言える。
使った人だけがわかる「ほわっ」とした熱の広がり方は使い捨てカイロに無い安心感と暖かさを提供してくれる。
専用燃料としてジッポライターオイル(パラフィン入りホワイトガソリン)が指定されているが、ハクキンカイロ純正のホワイトガソリン(通称:おっさんベンジン)も勿論使える。(メーカー保証外の使用方法になるので一応注意)
ともかく熱量と持続時間を…と考えた場合には、これ以外に選択肢は無いと断言できる。
尚、プラチナ触媒がある火口はジッポハンディウォーマー専用品に加えて、ハクキンカイロ PEACOCKの火口も使える。
ベースモデルが同じなので当たり前といえば当たり前だが、メーカー保証から外れるのでチラシの裏程度の「裏技」として覚えておくといいだろう。
このカイロを2個用意し、ハクキンカイロ純正のベルト(ハクキンカイロが2個入るポケットがある腰に巻くベルト)で腰に装着すると真冬の野外も非常に暖かく過ごすことができる。
しかもベンジン系は缶を開封していなければ長期間の年数で保存可能なので防災備品としても非常に魅力的になる。
昔から変わらぬ姿で現在も存在するには、それなりの理由があるのだろう。
・参考価格2,640円(税込2,851円)
・主要材質:アルミニウム(アルマイト処理)
・サイズ:H70XW50XD15mm
・本体重量:29.7g(オイル含まず)
・セット内容:ポケットウォーマー本体・専用収納袋・給油キャップ・取扱説明書(保証書)
・燃焼時間:1回の給油で最大約12時間発熱します。(給油量によって発熱時間を変えることができます。)【注】この商品には専用燃料は付いておりません。市販のカイロ用ベンジンもしくはライター用オイルをお求めください。別売で専用替火口はご用意しております。
・日本製
・メーカー品番:KPW-210
・手に持った時あなたはきっと驚くでしょう。その軽さに!!。東京荒川区の職人の技が光るアルミ製のとてもコンパクトでおしゃれなウォーマーの新登場。
・しかもカラーバリエーションは3つ。オーソドックスなシルバー、高級感のあるゴールド、そして女性にぴったりのピンクです。
・気化した燃料を触媒反応させて発熱するので、有毒ガスが発生せず、クリーンで低燃費。
・給油キャップがセットされているので簡単に給油することができ、繰り返しご使用できます。しかも1回の給油で最大約12時間発熱しますので、寒い冬にはとても重宝します。専用の収納ケースももちろんセットされてます。
「カワサキ」と言ってもオートバイメーカーの川崎重工ではない。
ジッポハンディウォーマー(ハクキンカイロPEACOCK)よりも小型なサイズのベンジン系カイロだ。
ハクキンカイロにもミニサイズがあるが、これはそれよりも小さいサイズだ。
ジッポハンディウォーマー(ハクキンカイロPEACOCK)のサイズが大きいと感じた人向けだろう。
サイズが小さいので持続時間も最大12時間となっているが、燃料は補給すればいいので大きなデメリットにはならない。
本体重量29.7gの身軽さを活かせば暖かい懐で寒さを楽しめることが出来る。
ハクキンカイロ ハクキンウォーマー ミニ
・参考価格:¥2,580
・商品サイズ:(幅×奥行×高さ) :80×20×125mm
・原産国:日本
・内容量:1個入
・材質:カイロ本体:真鍮、火口:プラチナ・ガラス繊維、中綿:脱脂綿
・コンパクトで持ちやすいHAKKIN WARMERのミニサイズ。
・ライター・マッチ点火タイプ。保温18時間。
※おじさんマークのハクキンカイロ専用ベンジンをご使用ください。
※取扱説明書をよくお読みのうえ、正しくお使い下さい。
昔はハクキンカイロから「こはる」という小さなサイズのベンジンカイロが販売されていたが、ミニはその後継商品にあたる。
「こはる」が専用の火口を必要としたのに対して、ミニはスタンダード(PEACOCK/3R)と共通の火口だ。
Zippoハンディウォーマーやハクキンカイロ スタンダードが片手で握るには少々大きいサイズに対してミニは片手で握ることができるコンパクトなサイズで18時間の発熱が可能。
氷点下に温度が落ちる場合は標準的なサイズが圧倒的に有利だが、季節の変わり目などで荷物に念のため入れておく時などはミニが有利。
以上の3製品が私のお薦めだ。
これ以外にも炭カイロなどがあるが、そちらはカイロ初心者にはお薦めできないので、慣れてきたら手を出すのがよいだろう。
カイロの使い方としては純粋にポケットの中で手を温めてくれる用途以外に、キャンプではシュラフの中で足元に転がして足先を暖める使い方がある。
低温やけどの心配があるので予備の靴下など何か布地で覆ってから足元に転がすのがいいが、テントの端になる足先と頭は外気の影響を最も受けやすいので気になる箇所だ。
頭は適当にニット帽などを被ればいいが、足元はそうもいかないので劇的な効果がある。
このとき、ベンジン系カイロだと独特の臭いがシュラフ内に充満するので気になる人は一発でダメだろう。
熱量を考えると「貼らないタイプの使い捨てカイロ」が最も適切だが、ゴミが出るので注意。
次いでエネループカイロだが、寝る時間を考えると持続時間に問題がある。(弱モードでも5時間程度なので最も気温が落ち込む朝方に電池切れという嫌な状態もありえる)
また、ハクキンカイロ純正ベルトは単にポケットがついただけのベルトなので、ハクキンカイロだけに限らず電気カイロや使い捨てカイロなど他の器具でも使用可能だ。
バイクで移動する時には最強のアイテムともなってくれるので是非とも入手をお薦めする。
尚、「ともかく手軽に試してみたい」という人はメテックスのエコ暖 ポケット懐炉という製品もある。
パッと見ではZippoハンディウォーマーやハクキンカイロと同じに見えるが、実際に使ってみると使い捨てカイロよりも温度が低いというレビューが見受けられる。
これは製品によってバラつきがあるらしく、そのバラつきを受け入れることが出来る人ならいいかもしれないが個人的にお勧めし辛い。
万が一、ハズレに当たった場合は火口(ライターで点火する部分のパーツ)をハクキンカイロまたはZippoハンディウォーマーのパーツと入れ替えることで本来の性能が出た話も聞く。
ハクキン/Zippoの火口は800円ほどなので、それなら最初からZippoハンディウォーマーやハクキンカイロ スタンダードを購入したほうが良いとも思えてしまう…(それがお薦めできない理由)
・参考価格:1,389円(税込1,500円)
・サイズ:約10×6.8×0.8cm
・重量:約97g
・本体材質:スチール、真鍮(バーナー)
・計量・注油カップ:ポリエチレン
・ポーチ:ポリエステル
・メーカー品番 EXHTSVPW
・経済的で環境にも優しいダブルエコ!オイル式ポケットウォーマー
・1回の注油で5~20時間、ぽかぽか暖かさが持続します。
・日常生活、アウトドア活動、旅行、災害時に。
・気化したオイルがプラチナの触媒作用により徐々に酸化発熱する化学カイロです。
・平均表面温度:約42?50℃、使用可能時間:約5?20時間
・使用燃料:ライターオイルまたはカイロ用ベンジン
・台湾製
・オイルに関しては市販のオイルをお買い求めください。
ベンジンの予備を持ち歩きたいならオイルコンテナという製品がある。
容量は8mlなので多くは無いが、約8時間程度の発熱時間の容量になる。(ハクキンカイロのスタンダード用カップは12.5mで12時間)
このコンテナを使用するには一つだけ注意点がある。
仕上げが悪い製品が稀にあり、オイル・ベンジンをたっぷり入れておいても数週間後には半分以上減っていることがある。
仕上げが良い製品ではまったく減ることがなく保管できるので、基本的に数日の間だけオイル・ベンジンを保管できるコンテナと思っておいた方がいい。
元々はZippoライターの給油用なのだが、先端が細くなっているのでZippoハンディウォーマーやハクキンカイロへの給油も先を綿の部分に充てるだけで毛細管現象によって簡単に給油できる。
紹介しているのはZippo純正だが、半分の価格で販売されている類似品は上記のオイルの減りが大きい酷い商品もある(アタリの品であれば純正と同じように使える)ので、購入される場合はそれを覚悟の上で。
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