最初のテントであったり、1シーズンのみの割り切りテントであったり活躍したことだろうが、
そのユーザーの中から(ほとんど?)が小川やモンベルなど他のメーカーの高額・高機能製品へステップアップしていっただろう。
そのコールマンもただ指をくわえて見ていたわけではなく、コンパクトツーリングテントDXやEX、バックパッカー1ポールテントなど幾つかの新製品を出したが、持って2年という短命な商品ばかり出している。
しかし、2007年にリニューアルされたコンパクトツーリングテントST(170T7300R)が前後の両面ドアを備えた頃から状況が変わってきた。
ファッドX3など暑苦しい日本には適合しにくい相変わらず斜め上の製品を出しているものの、価格も機能も肥大化しすぎて手を出しにくい状況にくわえて、シェラデザインのハーフムーンシリーズの消滅などが手伝って再び増殖してきている気がする2009年のシーズンだった。
そしてコールマンの商品カタログを見ると2010年もリストアップされているツーリング系テントの製品が以下。
コンパクトツーリングテント ST (170T7300R)
コンパクトツーリングテント LX (170T14400J)
ワイドツーリング X/2 (170T14300J)
タビト X/2 (170T14350J)
ファッドX3 (170T10850J)
前置きはここまで(長い!)、ここ数年のコールマンは似たような製品デザインが多く見受けられ、製品毎の差がわかりにくくなっている。
荷物も多くない1泊程度のソロツーリングならコンパクトツーリングテント STで全く問題ないと言えるが、1週間近い連休を利用した滞在型のキャンプを考えると他の製品が気になるし、コンパクトツーリングテント STでは狭いと感じるかもしれない。
ここで「何故にコールマンなのか?」という疑問もあるだろう。
小川キャンパルのステイシーII、ダンロップRシリーズなど信頼性も高く機能も十分なテントがいくらでも他にある。
いきなりトップの製品を使うのが一般的と言えるが、ここで敢えて「不便を楽しむ」ためにコールマンやロゴスなどホームセンターブランドと言われる製品で遊ぶのも一つの楽しみだ。
コールマンの製品は決してコンパクトでも軽量でも高機能でもない、ただのテントの一つだ。
山岳テントほどシビアな環境でもないキャンプ場、不便を楽しむのもまた一興だろう。
製品ラインナップを見てわかり辛いのがコンパクトツーリングテント STの延長線上にあると思われるコンパクトツーリングテント LX 、そして更に発展させたと思われるワイドツーリング X/2 だろう。
タビト X/2、ファッドX3 はコンパクトツーリングテント STとは違う設計概念なので明らかに異質なので割り切って考えられるはずだ。
インナーテント:210×180×110(h)cm
フライシート:210×350×110(h)cm
収納時:φ22×65cm
重量:約4.5kg
定員:2~3人用
インナーテントの広さを重要視したテントだ。
荷物が少なければ3人用として使えるかもしれないが、キャンプツーリング用途では2人用として使うのが無難。
一人当たりの肩幅を90cm確保できるので、寝返りも可能なことから自由度はかなり高く、夏場など体を寄せたくない場合は強力なスペックだ。
そのかわり前室はコンパクトツーリングテント ST と同様に傾斜した部分の空間容積が物足りなく感じるかもしれない。
滞在型というよりは「楽に寝ることが出来る」部分が重視されるテントだろう。
重さ4.5kgが軽いと思うか重いと思うかはバイク次第、但し収納時の全長が65cmと長めの部類なので大型車ならば問題ないが250cc以下のオフロード車やスリムな車体では少々気になるかもしれない。
尚、スペックを見るとフライシートとインナーテントの全高が同じ数値なので、インナーテントの高さは105cm程度と見るのが妥当だろう。
頂上は一点を引っ張る形のピラミッド型と思われる。
このあたりはフレームを1本追加した台形タイプのインナーテントが有利と言えるので実際の高さは10cm程度少ない数字で考えていたほうがいいだろう。
尚、ソロキャンプでこのテントを使うと室内に荷物を展開しても余るほどのスペースとなる。
手間としては後方ドアの上に追加されている「ひさし」用のショートポールを追加した少しだけサイズの大きいコンパクトツーリングテント STとも言えるので、広さは欲しいが設営時のポールの処理を面倒と思う人に向いているかもしれない。(そのかわり、ポールへフライシートを装着するベルクロテープの多さもコンパクトツーリングテント ST同様に引き継がれていると推測される)
私も現物を一度しか見ていない(それも赤の他人なので近くに寄れない)ので予想で書くが、コンパクトツーリングテント ST同様にフライシートのペグダウンは必須だろうが、ペグダウンの仕方次第では張り綱(ストームガード)は無しでも多少の風はやり過ごしてしまうと思われる。
どちらにせよ気を抜いてはいけないコールマン製品、一度現物を見て確認するのが無難だ。
インナーテント:150×210×115(h)cm
フライシート:295×210×115(h)cm
(※キャノピー展開時は70cm追加)
収納時:φ22×43cm
重量:約4.6kg
定員:1~2人用
どう見ても某O川なステイシーを意識したキャノピー重視型の滞在型ツーリングテント。
重量4.6kg、インナーテントに寝た時の肩幅側の寸法が150cm、高さ115cmと聞いたようなスペックに寄せてきている。
個人的にこの製品はお奨めしないが、実売が2万円台ならば「買い」・3万円台ならば「回避」だろう。
その理由は実売価格も考慮するとライバルのターゲット製品と思われるステイシーIIを購入したほうが確実だからだ。
決定的な違いはインナーテントの4面メッシュ化が装備されていないことと耐水圧の低さとベンチレータの少なさ。
日中の暑さ・雨の不自由さを楽しめる人ならば気にならないだろうが、悪い意味でコールマンらしさが出た製品だ。
ステイシーの実売価格と僅かな差で大きな機能差、ここで敢えてコールマンに転ぶ人は本当に不便を楽しんで、ネタに出来る人だろう。
そうでない人は素直に「てっぺん」に行くのが王道だと思われる。
ステイシーを無視してテント単体で見ると楽しめるテントだろう。
特に前室のサイドメッシュドアは蜂や虻などが飛び込んでくる可能性を下げてくれるし、高さもあるので着替えなどでも苦労は少ないはずだ。
際物という製品ではないが、有名すぎるステイシーと価格・商品性格があまりにも近すぎるので短命に終わる製品かもしれない。
気になる人は今のうちに入手しておくのが良いだろう。(私の予想では2010年のシーズンがラストイヤーな気がする)
インナーテント:220×155(135)×110(h)cm
フライシート:310×155(135)×110cm
約収納時:φ18×53cm
重量:約3.9kg
定員:1~2人用
一目見て広いのやら狭いのやら判断に迷うテントだが、ソロキャンプ用として考えた場合は「お薦め」のテントだ。
その理由はフライシート:2000mm/フロア:3000mmという嘘か本当か試したくなるほどの耐水圧。
ファッドX3を除いた他の製品が1500mmというスペックに統一されている中でこの数値、少しは信じたくなる。
テントそのもののサイズはインナーテントが肩幅部分で135cmというソロならば荷物も置ける数字、高さは実質100cm程度とみるのが無難だが特筆すべきは2本のポールをクロスさせずに平行させて、これをサイドポールで固定し、張り綱で引っ張って安定させているようだ。
突風時の安定は悪いかもしれないが、逆に言えば折れることなく歪むだけと推測される。
他のテントがピラミッドのように頂上部の一点は高さがあるが、他は斜面になってしまい実質的に自由度のない空間になってしまう中でハーフムーンのような半円柱状のインナーテントは居住性の高さを示す要素の一つだ。
そしてインナーテントは4面メッシュ化が可能なようなのでインナーテント側の換気性能は強力だといえる。
フライシート側のベンチレータが頂上部の一箇所のみかもしれないが、ソロキャンプ前提ならば大きな問題ではないと推測される。
重さもコンパクトツーリングテント STに400gの増量だけだ。
ポールにアルミ合金を使って3.9kgというのも少々悲しい現実だが、重さのほとんどは幕体で占めている証拠だろう。
雨への対応性の高さ、と空間居住性の高さの2点がセールスポイントと言えるタビト、コールマンにしては意外と良い製品かもしれない。
(勿論、コールマンなので現物を確認するまで安心してはいけない)
■結論
コンパクトツーリングテント ST:最初のテントに最適
コンパクトツーリングテント LX:2人で寝て余裕が欲しければ
ワイドツーリング X/2 :ステイシーと比較して後悔しなければ
タビト X/2 :ソロキャンプ限定ならお薦め
ファッドX3 :換気を除けば良いテントだが万人向けかは…
個人的にはファッドX3に後部ドアが付くだけで夏場の換気もクリアできて耐風性の強いソロキャンプお薦めテントになるのだが、現状では春・秋シーズンに夏場は高地限定ならお薦めというとろこだろうか。
2010年春の結論としてはソロキャンプ向けではコンパクトツーリングテント STとタビト X/2がコールマン製品ではお薦め。
コンパクトツーリングテント LXは2人で使うにはお薦め、ワイドツーリング X/2は中途半端という印象だ。
3月になればすぐに5月の連休がやってくる、今から今シーズンの計画を考えておきたい頃合だ。
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