地震などで家庭用の電源供給が断たれてしまうと問題になるのが「充電」。
携帯電話のカタログで「待ちうけ時間xxx時間!」と表記されていても実際には操作することで消費電力を多くしていることから数日で充電が必要になってしまう。
携帯電話の充電については以下の種類が考えられるだろう。
1)車のシガーライターソケットから充電する
日常の足として車を利用する人であればシガライター端子から携帯電話を充電しているだろう。
車のバッテリーは携帯電話と比較すれば物凄く大容量だ、この大容量を活かせばかなりの充電が出来る。
しかも車に燃料があればエンジンを始動させて車のバッテリーへの充電も可能だ。
2)電池で充電する
都心などでは乾電池・充電池による携帯電話充電が最も活用されている機器ではないだろうか。
乾電池を使うもの、またはリチウムイオン電池などの専用電池を内蔵しているものなど様々だ。
この文章を書いている時点でコンビニ・ホームセンターなどでは乾電池を使うタイプの充電器は品切れ状態が続いている。
このタイプの製品で気をつけなければならない点が幾つかある。
リチウムイオン電池など専用電池が内蔵されてしまい交換できないものは避けたほうがいい。
理由は再充電するのにAC100Vを使うものがほとんどなので、震災時には1回だけしか充電できないことになる。
また、防災カバンなどに入れておくとリチウムイオン電池は劣化・放電してしまうので、いざというときに使えない。
乾電池が使えるタイプであれば交換も容易だし、ラジオやライトなど他の機器にも転用できるので便利だ。
あとはオキシライド電池やニッケル水素充電池も使えるかどうか確認したほうがいい。
特にニッケル水素電池は乾電池よりも電圧が若干低めの傾向にあるので充電回路が動作しない恐れがある。
3)手回し充電器で充電する
携帯電話向けとしてではなく、災害向けラジオの付加機能として携帯電話への充電も可能という製品がある。
ハンドルノブを手で回すだけなので電池式充電器よりも可能性は高くなりそうだが、実用というには少々難がある。
電池の充電というのは元々何時間もかけて行うものだが、現在は急速充電があたりまえとなっている。
その急速充電でも1時間や2時間を必要とするが、小さなノブを1時間も連続で回していられるだろうか?
しかも大抵の製品がハンドルノブ付近の素材がプラスチック樹脂となっているので丁寧に扱わないと破損しやすい。
ほんの数分だけ使えればいい・メモリを消さない程度の電力が蓄えられればいいという割り切りならば有効なアイテムだが、メールやWEBに使うとなると不満が出てきてしまうのは確かだ。
4)太陽光発電で充電する
被災地では太陽光による発電が最も効果が高く、継続性を保てるものと思われる。
最近では携帯電話自身にソーラーパネルが装備された製品もあるが、こういった事態では有効な機能になるだろう。
本格的な移動用太陽光発電だと机の天板並みの面積が必要になるが、単三程度の大きさの充電池(ニッカド・ニッケル水素)を充電するならカマボコの板程度の面積があれば実用に耐えられる。
車のバッテリーあがりを防ぐソーラーパネルからバイオレッタのような充電機能も合わせたものなど幅広く存在する。
マルチライト(ライト・ラジオなど機能が複合された製品)には、小さいながらもソーラーパネルを持ち合わせた製品が存在する。
しかし、ソーラーパネルが付いていれば何でも良い訳ではなく、肝心なのは充電時間。
現在の技術では携帯電話の充電を行うにはA4程度のサイズを持つソーラーパネルが必要と思われる。
それ以下にのサイズでは何かしらの制限が加わり、それらの制限は「充電完了までの時間」に現れる。
バイオレッタVS01の場合、単三充電池だと2本で14時間、単四重電池だと2本で5時間となっており、日照時間も考えるとこのあたりがギリギリのスペックだろう。
尚、充電池は75%までの充電は速やかに行われるが、75%以上の充電はゆっくりと進む特性がある。
震災時にソーラーパネルで充電するなら7割程度の充電で十分と割り切るのが効率良い方法と言える。
■結論は
絶対に便利で応用も利くのは乾電池式の充電器だろう。
このタイプは単三電池2本を使うものから最大で8本程度までを搭載して長時間駆動も達成している製品まである。
専用電池を使用したものは既に述べたように専用電池への再充電の道が閉ざされるのでお薦めしかねる。
太陽発電などでニッケル水素電池に充電する機器がある人は、乾電池だけではなくニッケル水素電池に対応した製品かどうか確認したほうがいい。
仕事場へ車で通勤している人ならばシガーライターでの充電もありだが、それでもやはり乾電池式の充電器を一つ持っておくのがいいだろう。
また、自宅や避難所で電気が途絶したまま長期の滞在となるのであればバイオレッタなどの太陽光発電・充電機器を購入しておいたほうがいいが、避難所では日当たりの良い場所に長時間置くことになるので盗難が心配だ。
■お薦めは
・電池式充電器
単三電池を2本使う充電器(マンガン・アルカリ・ニッケル水素対応)で、しかも端子がUSBとなっているもの。
USB端子から携帯電話までは汎用のUSB充電ケーブルで対応。
・シガーライター式充電器
端子がUSBの製品、USB端子から携帯電話までは汎用のUSB充電ケーブルで対応。
・太陽発電
バイオレッタVS01を1台。
これだけで単三・単四充電池を2本充電できるが、オプションののUSBパワーアダプタがあるとバイオレッタからUSBポートを通して携帯電話へ充電することも可能だ。(緊急時には乾電池をホルダーに入れて携帯電話へ充電することも可能)
オプションのDC-DCケーブルがあれば、更にバイオレッタVS01を接続して充電時間を半分に減らすことが出来る。
その場合、単三電池なら7時間、単四電池なら2.5時間に短縮されるので実用的な数字だろう。
■参考情報■
【電池式充電器(ニッケル水素対応/USB出力)】
SUN AUTOMOBILE Co.,LTD.(サン自動車工業)
まる・チャージ
【太陽光発電式の充電機器】
・定価:5250円
・参考価格:4200円
・外形寸法:幅57.5×奥行き122.0×高さ27.0mm(突起部を含まず)
・重量:約125g(付属品を含まず)
・最大出力:750mW(4.8V、155mA)
・充電時間(満充電):単3形2本14時間、単4形2本5時間
・付属品:単4形電池アダプター
・使用周囲温度:0~45度
・メーカー型番:VS01
・単3形・単4形電池の充電や、携帯電話、PDA、携帯型AV機器など、さまざまな小型モバイル機器への電源供給ができる、ポケットサイズの汎用携帯型太陽光発電システムです。
・2001年度グッドデザイン賞、中小企業庁長官特別賞を受賞した、ロングライフ・ロングセラーの元祖モバイル太陽電池です。
→2011年3月29日現在で在庫あり、即納
→2011年3月29日現在で品切れ、入荷予定は未定
・定価:2625円
・参考価格:2360円
・外形寸法:幅52.0×奥行き26.3×高さ16.6mm
・重量:約10g
・最大出力:2.5W(5.0V、500mA)
・使用周囲温度:0~45度
・メーカー型番:VS01VAUSB01
・モバイル太陽電池「バイオレッタ ソーラーギア VS01」に装着し、携帯電話、PDA、携帯型AV機器など、DC4V~6V入力のモバイル機器に市販のUSB充電ケーブルで接続することにより、それらの機器の電池を充電できます。
・充電式ニッケル水素電池「バイオレッタ」を事前に充電しておけば、日射のないときでも使用できます。
→2011年3月29日現在で在庫あり、即納
※充電してあるニッケル水素電池、または乾電池を電池ホルダーに入れて携帯電話を充電することが可能。(太陽光が差し込まず、乾電池に充電されないことが条件)
※ソーラーパネルのみでは最大で4.8V/155mAしか電力供給できないことからUSB端子を通した外部機器への充電は事実上不可能、物凄く時間がかかりますので電力として電池を必要とします。(DC-DCケーブルで2台接続しても310mAなので「なんとか」という状態なので単三電池に充電してからのほうが良い)
http://www.naturum.co.jp/item/451777.html
バイオレッタ ソーラーギア
充電式ニッケル水素電池バイオレッタ単3型4本入り/VHAA1600-4
・定価:2100円
・参考価格:1890円
・定格容量:1600mAh
・重量:約26g
・公称電圧:1.2V
・最大放電電流:4800mA
・使用回数:充放電約1000回
・使用温度範囲:充電0~45度、放電-20~50度、保存-20~35度
・メーカー型番:VS01VHAA1600-4
・高温での充電や長時間の過充電に強い、太陽光充電に最適な特性を備えた充電式ニッケル水素電池です。
・4800mAまでの大電流放電に対応しています。
・約1000回くり返し使用可能で経済的です。
・カドミウム、鉛、水銀などの環境汚染物資を含まない、地球にやさしい電池です。
→2011年3月29日現在で在庫あり、即納
市販のニッケル水素充電池でも充電可能だが、バイオレッタVS01には過充電の為の保護回路が無いので満充電後は電池を痛めることになる。
http://www.naturum.co.jp/item/521353.html
バイオレッタ ソーラーギア
充電式ニッケル水素電池バイオレッタ単4型4本入り/VHAAA800-4
・定価:1680円
・参考価格:1590円
・定格容量:780mAh
・重量:約13g
・公称電圧:1.2V
・最大放電電流:2400mA
・使用回数:充放電約1000回
・使用温度範囲:充電0~45度、放電-20~50度、保存-20~35度
・メーカー型番:VS01VHAAA800-4
・高温での充電や長時間の過充電に強い、太陽光充電に最適な特性を備えた充電式ニッケル水素電池です。
・2400mAまでの大電流放電に対応しています。
・約1000回くり返し使用可能で経済的です。
・カドミウム、鉛、水銀などの環境汚染物資を含まない、地球にやさしい電池です。
→2011年3月29日現在で在庫あり、即納
市販のニッケル水素充電池でも充電可能だが、バイオレッタVS01には過充電の為の保護回路が無いので満充電後は電池を痛めることになる。
→2011年3月29日現在で品切れ、入荷予定は未定
本製品を使用することで最大3台のバイオレッタVS01が接続可能となり、充電時間の飛躍的な短縮が実現出来る。
1台の基本スペックが4.8V/155mAなので、2台であれば4.8V/310mA、3台なら4.8V/465mAの電力を発生させることが出来る。
時間単位でのスペックでは単三電池2本の充電時間が1台だと14時間、2台だと7時間、3台だと3.5時間になる。
単四電池では1台だと5時間、2台だと2.5時間、3台だと1.25時間になる。
何れも「目安」なので、太陽光の受光環境次第となるので「最短時間」として見たほうがいい。
また、4台以上も接続できてしまうようだが、充電回路に保護機能が無いことから電池への負担が大きくメーカーでは補償範囲外としているので注意が必要。
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