[災害]長期の避難に用意しておきたいもの(7)

Ryu Shobi

2011年06月16日 18:52

6)備蓄食料

今回の東北・関東の震災では阪神淡路・中越の震災と比べて津波という過去の災害とは違う要素も加わったこともあって避難所への食料供給の初動が大幅に遅れた感が否めない。
関係者は相当の尽力をし、腐心されてたと思うが、結果的に避難された方々の状況が厳しかったのは事実だろう。
しかし、避難する側も何か対策が出来ないかということで食料について考えて見たい。
■備蓄できる食料(メイン)

まずは「水」だろう。
上下水道の途絶、放射性物質の検出など今回は色々と水に関する問題が出た。
理想は災害向けの長期保存水だが、一般的なペットボトル水でも賞味期限が2年から3年に設定されているものが多いので、適度に使いながら備蓄する「ランニングストック」を行うのが良いだろう。

次に主食だが、自宅篭城も検討範囲に入れるとアジア系民族の主食である「米」が中心になる。
こちらも大量にストックすると消費期限(味の経年変化)が気になるところだが、水と同じでランニングストックを基本として一定量を常に保持するスタイルにすれば無駄が少なくなるはずだ。
購入する米は勿論「無洗米」、上下水道が停止した状態では米を研ぐ水も貴重になる。
(米を炊くには火力も必要だが、それは別の記事にしたい)
コストパフォーマンスは悪いが、α米も水・お湯のどちらでも戻すことが出来るので主食としては有効だ。
食感は…ひとそれぞれだろうが、私は「あり」だと思っている。

主食の次は「おかず」だが、缶詰中心の構成になってしまうだろう。
魚系の水煮・味噌煮・大和煮など色々あるが、個人的にお薦めは「水煮」だ。
味噌・醤油など最初から味付けされたものも適度に必要だが、一番シンプルで飽きが来ず、しかも味変にも柔軟に対応できるのは「水煮」だ。
さば、さんま、鮭など各種あるので【自分で試食して】気に入ったものを備蓄するのがいい。

しかし、魚だけでは飽きてしまう。
ベビーコーン、トマトのホール缶、グリーンピース、大豆、ひじき…etc、多くの缶詰があるので食物繊維も取れる缶詰を揃えたい。
また、レトルト食品も大抵が消費期限を1年に設定しているので、ランニングストックでバリエーションを増やせば幅広い味が提供できる。
レトルトであれば基本はカレー、変化球的に親子丼や麻婆豆腐なども入れれば更に良い。

■備蓄できる食料(サブ)

生きるのに最低限必要な食料は上記で揃っているが、更に備蓄可能ならば揃えておきたい個人的なお薦めを書いて見る。

・マヨネーズ
私自身は「マヨラー」ではないが、高カロリー、常温保存可能、ほとんどの食材に和えることが可能など幅広い使い方が出来るのでぜひとも備蓄しておきたい食材だ。
購入するなら「ハーフカロリー」など甘いことは言わずに、フルカロリーで。

・乾燥物
「わかめ」「こんぶ」「ごぼう」「切り干しだいこん」「しいたけ」など水を必要とするが、食物繊維を豊富に含んでいる乾物はぜひとも揃えておきたい。
特に水で戻しただけでも食べられる「わかめ」、食物繊維のかたまりである「ごぼう」がお薦めだ。
「こんぶふりかけ」など白米に直接かけて食べられるのも良い。

・調味料
調味料もランニングストックで保持するのがいいが、特に「ぽん酢」「米酢」「塩」「しょうゆ」を備蓄という概念で予備を1本づつ多く購入しておくなどすると安心だ。
特に冷蔵庫が使えない場合の夏場は食べ物が腐りやすいので「酢」があると保存にも役立つ。
白米を炊くのも燃料が勿体無いのと鍋を洗う水の節約などで有る程度まとめて作ることが想定されるが、保存時に酢をかけて「酢飯」にしておくと安心度が上がる。
私の場合は他に「黒酢」「オイスターソース」もお薦めだ。

・チューブ調味料
冬場の災害では寒さも敵になる。
チューブの「しょうが」などが多くあると体を温める「しょうが湯」を作れたりする。
また「にんにく」も単調な食事が続いた後には欲しくなるので、百円均一ショップなどで数本買っておくといい。
小さなチューブで小分けしておくのが衛生的なリスクを避ける意味で大事だ。

・レトルトの「おかゆ」
レトルト粥は賞味期限が半年程度の品が多く、あまり多くはストックできないが欲しいものの一つだ。
震災直後は過酷な状況になるので調理する気力さえないのと、余震などが怖くて手軽に食べられる速度が要求されることもあるのでレトルトの食材が便利だ。(水分も同時補給できる)
その中で「米」をベースにしている「粥」は消化吸収も良く、常温でも食べら得る手軽な食品の一つ。
残念なのは100キロカロリー程度の製品が多いので元気な人だと物足りないところだろう。
普段の生活の中で「風邪を引いた」「夏バテした」など弱ったときの食材として使うのを前提にすれば無駄にならない。

・甘味モノ
フルーツの缶詰やドライフルーツ、それにチョコレートなど甘いものも揃えておきたい。
ストレスで使えた体を癒すことにもなるし、フルース缶詰なら食物繊維もとることができる。
また、シロップは上質な糖分を含んだ水分として弱った人に与えると即効性のカロリーに化けてくれる。(糖分なので消化には多少の体力を使うが)
最大の欠点は普段から食べてしまうことだろうか?

・小麦粉
多少の水を使うが、練り物として様々な食材を混ぜて「お焼き」が出来る。
粉末出汁があればお好み焼きにもなってくれる。

・マルチビタミン剤、またはバランス栄養食
これは私のキャンプでの経験だが、炭火+肉という組み合わせが多くなるからか2日目か3日目あたりから肌が荒れてくる(正確には吹き出物が…)。
これを解決しようと幾つか試したところ「キャベツを1食に必ず入れる」「カロリーメイトを食べる」の2点だった。
これらの経験から「ビタミン剤摂取」が最も効果が高いということで現在はマルチビタミン剤をキャンプ時に持っていくことにしている。
震災時も似たような(むしろ過酷な)状況になるので、体調を崩さないという視点からビタミン補給の準備をしておいたほうがいいだろう。
ランニングストックで考えるなら、カロリーメイトなどのバランス栄養食を多めにストックし、普段の「おやつ」や補食に使う。
純粋に備蓄であればマルチビタミン剤を避難カバンに突っ込んでおくのがいいだろう。
私はカロリーメイトを10箱程度ストックし、ビニール袋に挿れて一次避難カバンの取っ手に結んでいる。
小腹が減った時などは家族が持っていくようにして、たまに買い足す方法を取っている。
これならばランニングストックとして使え、避難時はカバンにひっついてくるので食料にもなってくれる。(カバンの中に入れてしまうと取り出すのが面倒になる)

・粉末のポカリスウェット
純粋に水分吸収を高めたい場合に使う意図でリストアップしているが、実はランニングストックだ。
但し、今まで使い切ることが多く、理由は二日酔い…備蓄になってないなー。


■便利そうで避けたい食材

・カップラーメン
おいしい、確かにおいしい、私も大好きだ。
しかし水を多く使うので全てが備蓄に適しているとは言い難い。
ランニングストックとして購入するなら「カップヌードル」に代表される縦型カップのインスタント麺がお薦めだ。
400~500ml使う他のインスタント麺と比べて200~300ml程度の水で済む。
加えてお湯の温度が90度程度(沸騰しきってなくても)美味しく食べられるのも理由にある。

・パスタ/乾ソバ/乾うどん/そうめん
茹でるのに大量の水を使う&大量の水でないと美味しくないという理由でお薦めしない。
もちろん「ほうとう」も含む。
食感は悪いが、インスタント麺の「うどん」「そば」などで代用するのがいいだろう。

・パックごはん
前提として電気も停止しているので「避けたい」分類にした。
電気が早々に復帰する前提ならば「お薦め」の食材になる。
こちらに分類した理由はお湯で戻すには「12分かかる」ということ。
それならばあと8分程度足す事で白米が炊けてしまう。
パックごはんの「半年」という賞味期限もランニングストックするにも少々厳しい数字だ。
備蓄目的で購入するのではなく、普段使いで購入しておき、震災時に「たまたま残っていた」なら食べる程度に考えている。
(あくまでも私の場合なので、それぞれの事情・環境で備蓄食材に入れても良いと思う)
尚、空き容器が皿になるのも隠れたメリットだ。



【避難の度合いにあわせた食材】


■一次避難道具の食料
一次避難を一晩ないし2日程度の避難として、その後は自宅に戻る前提だ。
まずは「水」だろう、500mlペットボトルで小分けにするのが衛生的にもいい。
次に食料だが、やはりここは「カロリーメイト」などのバランス栄養食か「かんぱん」など即座に食べられるもの。
それとドロップなどの飴などだろう。
がっつり食べるならα米だが、お湯が欲しくなるので超小型のストーブなどが装備にあれば…だろうが、一次避難の時点では相当の混乱が予想されるので、火を使うのは避けたい。
また、避難所では何も持たずに逃げてきた人も多く、最初の数日は炊き出しなどの供給も期待できないことから空腹によるトラブルも懸念されるので、周囲の雰囲気に気を使った食事になることも想定しておいたほうがいい。

■二次避難道具の食料
二次避難を避難所で1週間以上の滞在とした場合だが、被災地外部からの支援がある程度始まっていると想定する。
支給される食料もあるだろうが、東日本の災害では一週間経っても塩にぎりが1家族に1個だけとか支給されない厳しい状況の場所もあったらしい。
それらを鑑みると火を使える前提で米が欲しくなる。
しかし、周りが食料を手に入れてない状態で自分たちだけが食料を持っているとなると…
ということでα米(水で戻す前提)が妥当だろう。
あとはビタミン剤に飴などの補食系で凌ぐしかない。
これ以上は自宅に戻るのがいろんな意味で懸命だ。
(そもそも水そのものが足りない状況になっているかもしれない)

■三次避難道具の食料
三次避難となれば居住エリアを離れる前提となるので行動食のみで十分なはずだ。
但し、エリア全体がパニック状態となってしまった場合は話が別だ。

■自宅避難
避難所と違い自宅ならば自由度が劇的に上がる。
カセットコンロなどを駆使してお湯を作り、適度に調理が出来る。
ただし、悪い情報では自宅にまでおしかけて来て食材が無いか尋ねてまわるアカの他人も居たとか。
治安が悪い時期にストックがあると知られるのはデメリットしか無いので自宅避難時はゴミの管理に気をつけよう。


【食材を隠すような記述が多い点について】

中越の災害では地元の連携意識が高く、避難所では食料もお互いに融通しあっていたらしいが、東北や神戸の災害では一概に同じだったとは言い難い状況だったらしい。(伝聞の範囲です)
私が住んでいるエリアは所謂「東京」なので更にひどい状況になる可能性が高いと思っている。
こればかりは済んでいるエリア次第だと思われるが、治安の悪さと緊急時の追い詰められた人の心を考えると悲しいことだが自衛せざるを得ない形になるだろう。
食料・燃料・電池など備蓄していても悪意を持って奪いに来る人がゼロとは誰も言い切れない。
家族以外には見せないのが良作だ。
本当に気心が知れた人がいる場合は、災害時の対応を見てからでも遅くは無い。


■想定外の行動

この場合の「想定外」はメーカーから見た消費者の行動だ。
また、私個人の私感が強く入っているので「こんな考えの人もいる」程度に捕らえて欲しい。
その想定外の行動とは…「賞味(消費)期限切れの食料はどこまでイケる?」だ。
缶詰は基本的に膨らむまでOK、インスタント麺は袋を開けて異臭がしなければOKなど危険な領域w
普段は絶対にマネしないでください、私は責任取れませんw

[α米]
大抵は5年で設定されている期限だが、補完状況によっては7年でも8年でも美味しく食べられる。
直射日光があたらない、温度が一定、湿気が少ない、一般的な条件をクリアしてればいい。
私の自宅で8年保管(つまり3年超過)したα米があったが、美味しくいただきました、家族でw
流石に10年は試す気にならなかったが、味の劣化を感じなかったので希望が持てるかもしれない。

[缶詰]
サンマ缶で5年モノ(賞味期限を3年オーバー)があったが、缶は膨らんでおらず開封後も異臭はなし。
流石に肉モノなので火を通してから食べたが、味は劣化なし。
あと数年はイケそうだった。

[インスタント麺]
袋麺で2年モノ(賞味期限1年オーバー)を食べたが、粉末スープがやや湿気た以外はOK。
但し、ノンフライ麺だったので食べられたのだと思う。
フライ麺系、および激辛系では麺に付着している油の酸化、激辛系では唐辛子成分の変化で半年越えでも味がおかしいと感じるらしい。(伝聞)
カップラーメンも同じだろう。

[乾麺]
そば・うどん・そうめん・パスタは保管状況によるが、未開封なら大抵は1年越え程度はOK。
そうめん(揖保乃糸)は味が少しおかしかった。

[レトルトカレー]
賞味期限1年越えの中辛味だったが、火を通した上で試食、問題なし。

[パックごはん]
賞味期限半年越え(製造から1年経過)を電子レンジで加熱して試食、問題なし。


以上が私が過去に試したことのある「賞味期限切れ」の結果だ。
決して他人に推奨するものでもないが、「飢えてしかたがない」という場合には気にしてられないだろう。
基本的に「80度以上の温度での加熱を1分以上行ってから食べる」のを徹底しておけば安全度が高まるし、あとは味に違和感を感じないか確認するだけだ。
以上、話のネタとして…

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