■充電の可否
電池と一口に言っても現在は幾つかの種類に分かれる。
一つは乾電池などの「使いきり」タイプ、もう一つはニッケル水素電池などの「再充電可能」タイプだ。
大抵は商品名で分けられているが、Panasonic エボルタのように乾電池タイプと充電池タイプが存在する場合もあるので注意が必要だ。
■乾電池の素材
使いきりの乾電池でも「マンガン」「アルカリ」「リチウム」「オキシライド」に分けられる。
大昔はボタン型電池を中心に水銀を主成分にした電池も存在したが、環境的な理由からとっくの昔に市場から消えている。
・マンガン電池
古くからある電池だが、アルカリ乾電池と比べて電力が少ないものの液漏れしにくい素材ということで一定の需要が存在する。
使わずに使用期限切れになるかもしれない備蓄用として考えた場合、アルカリ乾電池と比べて価格が安いマンガン電池が喜ばれたというのも理由の一つだろう。(特に単一電池などは高価格になりやすいので大きな価格差が発生する)
・アルカリ乾電池
マンガン電池よりも大電力を出せるが、マンガン電池などと比べて液漏れしやすく、また、メーカー推奨の使用期限も3年程度の製品が多いことから普段使いにはメリットがあるものの、長期保管を前提とした備蓄用にあまり適さない。
Panaonicが発売しているエボルタ乾電池はアルカリ乾電池でも技術の進歩によって10年の推奨使用期間となっている。
但し、エボルタ乾電池も液漏れしないのではなく、「液漏れしにくい」だけなので機器に入れたままはあまりお薦めできない。
・リチウム乾電池
マンガン・アルカリ乾電池が2年~5年程度の性能保持しかできない時代に10年間の性能保持と、軽さをメリットにしていた。
しかし、初期電圧が定格1.5Vに対して1.7Vや1.8Vという製品がほとんどだったので、デジタル機器に使用すると電圧が高すぎてダメージを与えてしまうことから使用を推奨しないメーカーも存在する。
1本あたりの単価がアルカリ電池の5倍から10倍もするという市場価格の高さも手伝って、一部の特定用途以外では姿を見ない。
・オキシライド電池
Panasonicのみが市場に出していたが、リチウム同様に初期電圧の高さなどが原因で普及度が低く、現在は製造が終了している。
■充電池の素材
乾電池タイプ以外も含めると「鉛」「ニッカド」「ニッケル水素」「リチウムイオン」の4種類が有名だ。
・鉛電池
自動車のバッテリーなどに使用されている例が多い、重たい・バッテリー液が大量に必要など単一などの規格化された電池に使用するには技術的・コスト的に無理がありお目にかかることは少ない。(一部、シールドタイプの鉛バッテリーの形式でコンパクトな製品も存在するが、特定機器専用バッテリーだったりするので知名度は低いだろう)
・リチウムイオン
ノートPC・ビデオカメラ・デジカメのバッテリーとして有名だが、小型化の技術よりも充電する時の電圧管理が厳しく、規格化された電池に至ってない。
・ニッカド
ニッケル/カドミウムを主成分とする充電電池を略してニッカドと呼ぶ。
昭和の時代から存在する充電地だが、大容量・放電特性に優れたニッケル水素電池が普及しだしてからは数が少なくなってきている。
但し、大容量電流を必要とする機器にはニッケル水素電池よりも優れている面があることから特定用途では現在も使われている。
・ニッケル水素
現在、規格化された充電池では最も普及していると思われる電池。
ニッカド電池と比べて大容量化が進み、技術も進んでSANYO エネループのように自然放電しにくいニッケル水素電池も存在する。
ただし、初期のニッケル水素充電池は満充電しても自然放電が進みやすく数ヶ月後には空になっている製品も存在した。
ニッケル水素充電池全てが長期間の蓄電に優れているわけではないので妄信は危険だ。
■空気放電について
電池は使わなくても電力が少なくなっていくが、大きな理由は素材の劣化と放電だ。
劣化は物質である以上は仕方ない経年変化だが、放電は空中放電によるところが大きい。
勿論、機器に入れたままであれば接触している端子による放電もあるが、電池単体でも空気中に放電してしまう。
これを防ぐには、乾電池であれば購入時のビニールなどの包装を極力取らないようにする、または端子をテープ等で覆ってしまうなどがある。
完全密閉は現実的ではないので、ビニール袋に入れ、箱に入れるだけでも違うだろう。
■保管場所について
電気機器と同じで高温・多湿は電池の寿命を早めるだけだ。
特に高温は電池内部の反応を促進させることもあるので、使わなくても電力が無駄に消費されていることも考えられる。
また、充電池などでは内部素材の劣化を進めることになるので、蓄電性能が落ちやすくなる要因にもなる。
冷蔵庫で保管する几帳面な人もいるが、ジッパー付きビニール袋などに入れて、直射日光のあたらない風通しの良い場所に保管する程度で十分だろう。
また、液漏れは全ての電池に発生しうるものなので、小さめのビニール袋などへ分割して入れておくとダメージが少ない。
■備蓄に適した電池は?
いざ使おうとした時に電力が無い、または液漏れして使い物にならないのは避けたい。
初動時にライト・ラジオを使う目的でマンガン電池にしておくのがお薦めだが、百円ショップに置いてある程度の電池で十分だ。
アルカリ電池は電力的に魅力だが、エボルタ以外ならばマンガン電池とアルカリ電池のミックス備蓄をお薦めする。
充電池ならばニッケル水素一択だが、個人的にエネループを強くお薦めする。
他のニッケル水素でも使えるが、エネループは電圧の落ち込みが小さいので1.2Vをかなりの時間でキープしてくれる。
また、三洋純正のオプションにソーラー充電器やモバイルバッテリーなども揃っているので安心して使うことが出来る。
ただし、最近のソニー・パナソニックが出すニッケル水素については情報が無いので調べてからでもよいだろう。
■電池のサイズ
大き目の懐中電燈では単一電池を使用するが、使用時間を考慮しなければ単三電池を単一電池のサイズにするスペーサーで代替するのもアリだ。
ただし、その場合(あたりまえだが)単一電池の容量ではなく単三電池でしかないので、長時間の駆動は難しい。
LEDではなく電球タイプのハンドライトだとしたら備蓄は単一電池にし、代替として単三電池+単一アダプタにするのがいいだろう。
また、ソーラー充電器などと連動させて補充電しながら使うのであれば最初から単三で統一するのもアリだろう。
自分が置かれるであろう環境を想定しながら決めるのがいい。
特に想定も無く、普通に備蓄するのであればアダプタなど使わずに、使用する機器の指定電池を備蓄するのがいい。
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