2007年04月18日
マットについて
テントの中で寝る時に大抵の人が使う道具がシュラフとマットだろう。(季節・環境・装備などの都合で使わない人もいると思うが、ここは使う場合を標準と捉えている)
そのマットにも幾つかの方式があり、メリット・デメリットが存在するので軽くまとめてみた。
(ここでは簡易ベッドのコットやハンモック系はマットではないことから省いている。)
そのマットにも幾つかの方式があり、メリット・デメリットが存在するので軽くまとめてみた。
(ここでは簡易ベッドのコットやハンモック系はマットではないことから省いている。)
■マットの役割■
マットは単純に考えれば寝心地を良くするだけと考えられるが、春・秋(冬)のキャンプではもう一つ大事な役割を持ち「体温より低い地熱から体を守る」という機能がある。
冷たい場所に寝るのは夏ならば気持ちよく思えるが、寒い季節では背中から体温を吸い取られるような感覚で次々に熱を奪われていき、最悪、低体温症のような状態になってしまうことも考えられるので大事な役目ともいえる。
「シュラフに包まれているのでは?」と思う人も居るだろうが、体と地面(間にテントの生地が割って入る)に潰されたシュラフは意外と保温能力に欠け、冷たい地熱をダイレクトに体へ伝えてしまう傾向が強くダウンシュラフであれば更にその傾向が強くなる。(ダウンシュラフは羽毛の間に空気を入れて保温効果を高める為、潰されてしまうと意味を成さなくなる)
そこでマットの出番になり、地面と体の間を完全に遮断するのが望ましいとされている。
確かに寝心地も疲れを取る意味では非常に重要な役目なのだが、保熱も重要となる。
■マットの種類■
マットには幾つかの種類に分かれるが、大きく分けて以下の種類に分かれる。
1)単なるウレタンで構成されたマット
2)空気を注入するだけのマット
3)空気とウレタンスポンジなどを組み合わせたマット
1)単なるウレタンで構成されたマット
この「ウレタンで構成されたマット」というのはシンプルで扱いが楽というのが最大のメリットになる。
インフレータブルマットのように保管時の制約もなければ空気抜けといったトラブルもない。
長期のキャンプであれば最も信頼できるマットになるだろう。
その反面、地面の凹凸を吸収しきれないことが多く、寝心地に関しては人によって賛否が分かれる。
積載時の収納サイズも小さくすることが出来ないので、パッキングに拘る人は敬遠することも多い。
代表的なもので「銀マット」があり、他にはリッジレストやZレストなど。
構造的にも頑丈なので絶対的な信頼感は強く、反面、空気の層が無いに等しい構造なので地面の凹凸を吸収しきれない場合もあるので使う人の好みが大きく出るマットでもある。
但し、銀マットとリッジレストは値段・寝心地が大きく異なるので同じと考えないほうがいい。
銀マットは寝心地よりも地熱の遮断のみしか機能を有してないと言っても過言ではないが、リッジレストは寝心地まで追求しているのが使っている人にはわかる。
また、小さな小石程度の凹凸であればZレストもしっかり吸収してくれるので、持っている人に出会ったら一度は横にさせてもらって体感するのが確実だろう。
長期のツーリングでパンクなどが怖い人はウレタンマットがお薦めだ。
2)空気を注入するだけのマット
浮き輪やビーチボールのように空気を入れるだけで使うことが出来るエアマットを指す。
利点は空気だけで膨らませることから収納時のサイズが非常にコンパクなことだ。
また、空気のみで膨らませることから厚みをもたせ易く地面の凸凹を全く感じない寝心地を得られることが挙げられる。
デメリットとしてはパンクしたら一発で終わりなことと、構造上の問題で保温力が無い等しく初春や晩秋・冬のキャンプでは使い物にならない夏場専用のマットになってしまう品が多いことと、空気をいれるためにポンプを用意するか人力でがんばるしかないので面倒だということだ。
また、個人差はあるものの寝心地に関し、お尻部分に押し出された空気が背中部分に押し寄せてしまい、結果的に背中に妙な圧迫感を感じてしまうこともある。
「構造上の問題で保温力が…」の部分だが、エアマットの底部は冷たい地熱に触れているが、上部は(シュラフ越しかもしれないが)人体に触れていることになる。
この温度差が原因でエアマット内で対流が発生し、熱交換が行われてしまう。
この熱交換によって人体の熱で暖められた空気は温度が低い地熱によって冷やされてしまい、結果的に人体の熱がどんどん奪われていく構造になっている。(人体と比較すると地面側の質量が圧倒的に多いので地面側が暖まることはない)
これが夏場なら歓迎できるが、初春・晩秋の寒い時期ではまさに「眠れぬ夜」を過ごすことになってしまう。
空気が対流しない仕組みか、地熱をシャットアウトする敷物を一枚挟めば改善されるので、工夫次第でもあるのは確かだ。
ともかくマットの積載量を少なくしたい人向けといえるだろう。
3)空気とウレタンスポンジなどを組み合わせたマット
現在の主流ともいえる方式、「インフレータブルマット」とも呼ばれ、ウレタンスポンジが中に封じ込まれているエアマットだ。
スポンジによって適度な弾力を持たせ、空気の対流も防ぐことが可能となっている。
インフレータブルマットは展開する時にエアバルブを空けて放置しておけばスポンジの膨張力で自然に空気が入る仕組みになっている。(時間はある程度必要)
エアマットの省スペース性とスポンジによる空気の対流防止・クッション性の向上というメリットがあり、省スペース性よりは寝心地・暖かさを飛躍的に向上させたマットと考えたほうが早い。
「エアマットにスポンジ入れただけ?」と思う人がいるかもしれないが、中のスポンジとマット面の生地が接着されているのでスポンジがフレームの役目も果たしている。
エアマットの場合はスポンジに相当する部分が無いので細いチューブ状に分けていることから断面図が○○○となってしまい、体に接する部分は円の頂点のみになるので寝心地がよいとは言えない状況だった。
これがインフレータブルマットでは平面となるので寝心地の向上に貢献している。
デメリットはエアマットと同じく穴が開いたら潰れたウレタンスポンジと布地の薄っぺらい敷物にしかならないことだろう。
タバコの火、爆ぜた炭火、焚き火の火の粉などは厳禁だ。
また、シートを膨らますのに口で息を吹き込むと湿気と雑菌も同時に吹き込むので長年使うとカビが発生しやすくなる指摘もある。(直射日光下で乾し、中の温度を上昇させて殺菌する方法もあるが効果は不明)
保管も丸めたままだとスポンジに潰れ癖が付いてしまうので、基本的に空気を入れた状態になる。
寝心地は最も良い部類だが、扱いと保管には幾つかのポイントがるので注意が必要だ。
積載と寝心地でバランスよい所を選びたい人はインフレータブルマットしかないと思われる。
■マットのサイズ■
ここまで3種類に分けてマットを紹介してきたが、最後にサイズの話をしたいと思う。
製品名に「レギュラー」や「ラージ」「ショート」を表記されているものを見かけるが、これは全長を示す。
一般的にレギュラーと表記されたものでは全長180cmと平均的な成人男性の身長に対応したものを示し、「ラージ」と表記されたものは身長180cm以上の成人男性に対応していることを示す。
寝るためのマットとして考えた場合に全身をカバーするのが自然に思えるかもしれないが、少しでも荷物を少なくしたい山岳登山系では必要最低限のカバーさえ出来ればいい考えから背中のみを覆うショートタイプが一般的だと考える場合もある。
お尻から肩までの「背中」を冷たい地熱から守り、頭や足はザックなど何か適当に装備を下に敷いてしまう。
これによりマットの収納サイズがレギュラーの半分以下になるので、収納スペースを省いたかわりに運用でカバーする考え方だ。
バイクのキャンプツーリングの場合も同じ考えでショートタイプのマットを購入する人もいるが、枕に関しては空気で膨らますタイプのエアピローを用意する人も居れば、ライディングジャケットなどを枕にする人もいる。(私もライディングジャケットを枕にするのでエアピローなどの装備は持たない)
あと、マットを購入するときは出来る限り現場で使用した人の意見と、意見を述べている人が自分と同じ趣向性なのかを十分に確認する必要がある。
上記のショートマットの使い方のように何か他のもので詰めたスペースを補う場合には、それを前提とした装備にする必要があったりするので、全ての人が真似できるとは限らない。
また、メーカーの異なる二つの製品があり、カタログ値ではどちらも「3cm」と表記されていても実際に寝てみると寝心地が大きく違うことがある。
これはスポンジ自体の硬さや気泡の密度も寝心地や保温性に大きく影響する良い例で、適度な反発力を空気に頼るのか、それともスポンジの反発力も利用するのかで寝心地は代わり、空気だけに頼るタイプはお尻や肩甲骨に押された分の空気が背中を圧迫するなどして目覚めたときに妙な寝疲れを感じてしまう結果になる。
保温性に関してはスポンジの気泡が出来るだけ細かくなっているのが望ましく、気泡が大きい場合にはスポンジに体温を保持できず地熱の影響を受けやすくなる。
単にスポンジが入ったマットであれば価格も安くできるが、寝心地を追求していくと上記のような要素が大きく影響するので、自分に合ったマットを探すためには色々な情報を入れて、そして実際に現場で見てから選ぶことを強く薦める。
特に肩幅が広い人はマットの幅にも注意して、銀マットなど現在使っているマットを参考情報に必要な数値を把握しておくのがいいだろう。
この幅というのは意外と見落としやすく、少しでも体が斜めになったら背中の肩甲骨部分がはみだしてしまい、マットが保護すべき背中の体温が地面に逃げてしまうと寝不足にもなりやすく疲れもとれない。
ある程度ならば着替えなどをマットの横に並べることで対処できるが、早春や晩秋のキャンプでは苦しい対処方法になって効果も薄いだろう。
「寝る」というのは人間の欲求の中でもかなり上に位置するものなので、気力・体力に自信がある人でも慎重にアイテム選びをしたほうがいいと思う。
タグ :マット
Posted by Ryu Shobi at 15:00│Comments(0)
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